新型コロナは武漢ウイルス研究所で作られた 米国防総省が報告
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, August 30, 2023
米国防総省の医療情報部門の科学者らは、新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)中に、この病気の発生が武漢にある、今や有名になった中国の研究所で作られたウイルスによって引き起こされたことを示唆する証拠を発見していた。
国防情報局(DIA)の国立医療情報センター(NCMI)の2人のウイルス専門家は、新型コロナが人への感染力を持つこと、武漢ウイルス研究所で過去に動物ウイルスを人に感染しやすくするための実験が行われていたことを基に、新型コロナは生物工学によって作られたものだと結論づけていた。
これらの事実は、NCMIの専門家ロバート・グレッグ・カットリップ氏とジャンポール・クレティエン海軍中佐が2020年に発表した研究報告にまとめられている。
この報告は、「アンダーソン氏らの批判的分析、新型コロナ起源の可能性」と呼ばれている。
これは、さまざまなところで引用された学術誌「ネイチャー・メディシン」掲載論文に対する科学的反論として書かれた。この論文はクリスチャン・アンダーソン氏ら5人の科学者によって書かれたもので、「私たちの分析は、新型コロナが実験室で作られたものでも、意図的に操作されたものでもないことを明確に示している」と結論付けている。
この論文は最近まで、感染症の脅威に関する大統領首席医療顧問であったアンソニー・ファウチ氏や政府高官らの主張の中心となり、政界、メディアでも流布された。新型コロナは実験室から流出したという考えを陰謀論として否定し、新型コロナはコウモリから、特定されていない中間宿主を介して自然に人に感染したと主張した。
NCMIの専門家らは、豪紙オーストラリアンのシャリー・マークソン記者が最初に公表した報告の中で、新型コロナは武漢ウイルス研究所でのウイルス研究から広まったことはほぼ間違いないと主張している。マークソン氏はワシントン・タイムズの取材に対し、NCMIの最終論文は機密だが、その研究結果は報告書にほぼ反映されていると語った。
オーストラリアンによると、この論文は他の情報機関にも回覧されたが、一般公開はされず、連邦捜査局(FBI)にも伝えられなかった。FBIは、新型コロナは武漢ウイルス研究所から流出した可能性があると指摘している二つの情報機関のうちの一つだ。
NCMIの報告書によれば、この医療情報専門家らは、新型コロナの一部が、08年の武漢ウイルス研究所で操作されたウイルスの一部に似ていることを発見したという。
報告書には「私たちは、提示された証拠を検討し、このウイルスが自然に発生したことを証明するものではないと判断した。実際、アンダーソン氏らが指摘した新型コロナの特徴は、別のシナリオと一致している。つまり、新型コロナは実験室で開発されたものであり、その開発の手法は、コロナウイルスの第一線の研究者が、ウイルスがどのように細胞に感染し、病気を引き起こすかを調査し、動物のコロナウイルスが人に感染する可能性を評価し、薬剤やワクチンを開発するために一般的に用いているものだ」と記されている。
さらに、新型コロナの人の細胞への結合能力は自然淘汰によって発達したというネイチャー・メディシン誌の論文の著者らの主張を否定。「これは科学に基づく議論ではなく、仮説を立てた1人の科学者の意図と方法論に関する思い込みだ」と述べている。
NCMIの科学者らは、このウイルスはRaTG13と呼ばれるウイルスに似たコウモリウイルスの一部と、センザンコウから分離された別のウイルスの一部を組み合わせることによって「合成」された可能性があると指摘している。この研究の目的は、センザンコウが人に感染するコウモリウイルスの中間宿主になりうるかどうかを調べることであり、この研究は武漢ウイルス研究所が過去に行っていたと報告書に記されている。
NCMIによれば、このような研究は新型コロナが発生したことで、武漢ウイルス研究所から報告されなかったか、秘密裏に行われた可能性があるという。
報告は、「アンダーソン氏らによって指摘された新型コロナの特徴は、長期にわたる実験室での実験と一致している。アンダーソン氏らが提示した証拠は、研究所起源説の可能性を否定するものではない」と結論付けている。
NCMIのゲノム解析で20年半ばまでに、パンデミックの背後にあるウイルスが遺伝子操作されたものであるという説得力のある結果が出ていた。
調査に近い筋がオーストラリアン紙に明らかにしたところよると、21年までに、政府内の四つの科学者グループが新型コロナは「自然発生ウイルスではない」という見解で一致していた。
21年5月、バイデン大統領は新型コロナの起源について3カ月間の調査を命じたが、国家情報長官室(ODNI)が作成した報告書はNCMIの調査結果を否定し、ほとんどの情報機関は、新型コロナは遺伝子操作されたものではなく、自然に発生した可能性が高いと考えるとしていた。
しかし、ODNIの報告には、ゲノム解析や、新型コロナが武漢ウイルス研究所での危険な作業の結果である可能性を示す他の証拠についての議論が報告書にはなかったという批判が出ている。
ODNIの報道官は「新型コロナの起源に関する国家情報会議(NIC)の作業は、客観性を含め、情報機関の分析基準をすべて順守していた}と主張した。
NCMIが所属するDIAの報道官は、新型コロナの起源に関する分析について、DIAは依然としてODNIを支持すると述べた。
6月に発表された最新のODNI報告では、新型コロナの起源について新しい結論は述べられていない。この報告書によれば、自然に発生したものなのか、それとも実験室からの流出によるものなのかについて、各機関の意見は依然として分かれているとしている。
しかし、ODNI報告はNCMIでの調査結果とは逆に、新型コロナは武漢ウイルス研究所から発生したものではないという考えに傾き、「ほとんどすべての(情報)機関は、新型コロナは遺伝子操作されたものではないとみている」と指摘した。