NSAがAIセキュリティー・センター新設 サイバー脅威に対抗
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Thursday, September 28, 2023
国家安全保障局(NSA)が人工知能(AI)によって生まれ変わろうとしている。
NSAのポール・ナカソネ長官(陸軍大将)は28日、AIサイバーセキュリティーの課題に取り組む部署を新設することを明らかにした。
新設されるのは「AIセキュリティー・センター」。AIツールを精査・テストするためのNSAの主要拠点になり、国家安全保障機関が使用するAIツールの設計と採用を促進する。
ナカソネ氏はナショナル・プレス・クラブで、「AIセキュリティー・センターは、産業界が知的財産に対する脅威を理解することを支援し、脅威の防止と根絶にも協力する。AIセキュリティー・センターは、米国の産業界、国立研究所、学術界、情報機関、国防総省、一部の外国のパートナーと緊密に協力する」と述べた。
この新しいAIチームは、NSAのサイバーセキュリティー・コラボレーション・センター(CCC)内に設置される。米国の情報機関はCCCで、民間企業と連携し、暗号の作成・解読を行い、外国からのサイバー脅威と戦っている。
ナカソネ氏によれば、CCCによって、NSAと民間のサイバーアナリストが昨年、中国政府のハッカーと知られる人物が米国の防衛産業基盤内に侵入するのを阻止した。
AIメーカーは、中国など外国の敵対者に研究を盗まれることへの警戒を強めている。
グーグルのAI研究チーム「グーグル・ディープマインド」は、5月の非公開会合で下院議員らに対し、中国をめぐるセキュリティー上の懸念から、研究成果の公開・共有方法を見直すことを明らかにした。
中国共産党に関する下院特別委員会に近い情報筋によると、グーグルはAI研究をより厳重に管理することを検討しており、中国が情報を軍事目的に使用することを恐れているという。
中国と民間企業が最新のAI技術を手に入れようと努力するなか、米国の情報機関は、米国の工作員全員がAIを使えるようにするための準備を進めている。
国家情報長官室のレイチェル・グランスパン氏は、米国の情報機関は、スパイ活動に「AIファースト」で取り組んでおり、所属機関の全員がAIを使うことを望んでいると述べた。
グランスパン氏は、情報機関がAIをどのように使うかを監督する立場にあり、7月に、AIがハイブリッド戦争やシミュレーションなど多くのことに使われることを期待していると述べた。
グランスパン氏は情報・国家安全保障サミットで、「職務や役割、技術的な背景の有無に関係なく、AIを職員一人一人の手に行きわたらせ、全体の能力を最大化する。それが私の目指すところだ」と述べた。
コンサルティング会社のブーズ・アレン・ハミルトンのパトリック・ビルトゲン氏は、AIが間もなく、情報機関職員のアシスタントになるとの見方を示した。
AIプロジェクトで米政府機関と契約しているビルトゲン氏は、7月の会議で、AIアシスタントが、人気映画「アイアンマン」でトニー・スタークを支援する架空のキャラクター「ジャービス」のようなものになることを想定していると述べた。