イスラエルがガザ攻撃 中国の台湾侵攻へ懸念高まる

(2023年10月13日)

2023年9月9日、台湾海峡で航行中のアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSラルフ・ジョンソン(DDG114)。(ジャマール・リデル1等通信兵/U.S. Navy via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, October 11, 2023

 米国の議会指導者と安全保障アナリストらによれば、アジア太平洋地域外で二つ目の紛争が発生したことで、この地域への西側の関心が弱まり、中国が台湾に対する軍事作戦を開始する可能性が高まるのではないかという懸念が高まっている。

 台湾海峡の緊張は依然として高く、中国は台湾を数年以内に占領すると宣言している。

 ウクライナへの米国の武器供与によって、中国による台湾攻撃を抑止するために必要な武器の備蓄が不足するようになるのではないかという懸念は、すでに複数の議員から出ていた。

 二つ目の紛争が中東で勃発した。イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザのハマスに対する地上攻撃を開始しようとしており、米国は主要同盟国であるイスラエルに兵器などの追加支援を行う必要が出てくる。

 マイケル・マコール下院外交委員長(共和、テキサス州)は、米国の武器で台湾の防衛を強化することは、多面的な大国間競争において中国を抑止するための重要な要素だと述べた。

 「(中国の習近平国家主席が)台湾侵攻の可能性に備えて軍備を整えている今、台湾の人々が必要とし-対価を支払った-武器を手に入れることは、平和と抑止力にとって極めて重要だ」とマコー氏は声明で述べた。

 インド太平洋軍のスポークスマンであるカイル・レインズ海軍少佐は、今後も、抑止戦略とこの地域の自由と開放を維持する取り組みの一環として、この地域全体のリスクを評価していくと述べた。レインズ氏は電子メールで「われわれの評価は変わっておらず、同盟国やパートナーとともに警戒を続けている」と強調した。

 議会はバイデン政権に対し、遅延している約200億㌦分の武器供与を含め、台湾への武器輸出を加速するよう求めている。

 クリスティン・ウォーマス陸軍長官は9日、陸軍はイスラエルとウクライナの両国が必要としている軍需品の生産と武器の供与を支援するための追加予算を議会に求めると述べた。

 下院中国共産党特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(ウィスコンシン州)は、ウクライナ危機の初期段階に米政府はロシアが侵攻しないと信じ、ソフトパワーだけでロシアを抑止しようとするなど「甘い考え」を持っていたと指摘。イランは現在、米国の関心を中東へと向けさせる新たな敵対国になっていると述べた。

 ギャラガー氏は、これらのことから、中国の攻勢が強まる中、台湾への支援に関与していくことが必要だと主張した。

 さらに同氏は、「日付変更線の西側でハードパワーを急増させなければ、インド太平洋に関して同じ過ちを繰り返す危険がある」と述べた。

 より視野を広げれば、独裁国が連携して米国に対抗する枢軸の構図が見えてくる。中国がその中心で、ロシアのプーチン大統領がこれを支援し、イランがこの敵対的な連合への関与を強めている。

 ギャラガー氏は、「その目的は単純で、米国の世界的リーダーとしての地位を破壊し、同盟国との協力関係を断ち切ることだ」と指摘した。

 マコール氏は、中国、ロシア、イラン、北朝鮮は、世界的な戦略的競争の中で、主権国家の境界線を引き直すために協調して行動していると述べた。

 「ハマスや(レバノンのイスラム教シーア派組織)ヒズボラのようなイランが支援するテロリスト集団と連携して、自由と民主主義に対する地政学的な戦いで、各国を分断することはできない」

 国防当局者は記者団に、国防総省はイスラエル軍への支援を急速に強化しており、防空ミサイル、弾薬などの軍事物資をイスラエルに送っていると語った。

 米軍はイランが紛争に直接介入した場合に備えて、空母ジェラルド・フォード率いる打撃群を派遣、10日に地中海東部に到着した。打撃群には空母の攻撃・支援機8飛行隊、誘導ミサイル巡洋艦1隻、誘導ミサイル駆逐艦4隻が含まれる。

 この当局者は、打撃群派遣は「イランに対する抑止力のシグナルだ」と述べた。

中国軍の前例

 中国には、自国軍を使って混乱を引き起こし、世界中の関心を他の地域から逸らさせた前例がある。

 1962年10月20日、中国軍はインド軍に対し、係争中の国境を越えて攻撃を開始し、インドとの衝突をエスカレートさせた。

 この攻撃は、米ソ冷戦下で最も危険な核をめぐる対決の一つ、キューバ危機が始まった数日後のことだった。

 安全保障専門家は、ウクライナとイスラエルの両方に対する米国の軍事支援は、将来の中国の台湾攻撃を抑止するための作戦を複雑にするとみている。

 元太平洋艦隊情報部長で中国軍専門家のジム・ファネル元海軍大佐は、ハマスの攻撃後に武器の必要性が高まったこと、ウクライナ侵攻を受けてこの2年間、米国の軍備供給への要求がウクライナに集中したことを中国は注視していると述べた。

 ファネル氏は「中国共産党はこれらのデータを使って、総合的な国力を分析する。米国が『民主主義陣営の武器庫』であり、これらの需要に十分に応えられていないことは、中国共産党のアナリストらが、台湾侵攻を成功へと導く一つの明確な要因と解釈する可能性が高い」と警告した。

 国務省の元中国政策顧問マイルズ・ユー氏は、バイデン政権は中国による戦略的脅威から目を逸らすべきではないと述べた。

 現在、ハドソン研究所中国センター所長のユー氏は、キューバ危機の前例を引き合いに出し、さらに、中国の国共内戦で毛沢東軍が権力を握りつつあった時、1948年から1949年にかけて行われた「ベルリン大空輸」によって、中国への米国の関心は薄れてしまったと指摘した。大空輸は「戦略的に関心を逸らすためのものであり、大きな効果があった」とユー氏は言う。

 「台湾危機の今、中国共産党は最も重要なファクターだ。われわれは本当に重要な脅威に集中し、欧州や中東などの地域で起きている問題に気を取られないようにしなければならない」

 元海兵隊大佐で、アジアでの豊富な経験を持つグラント・ニューシャム氏は、中国はイスラエル・ガザ紛争は自国に有利に働くと考えているはずだと語った。

 同氏は、ウクライナへの支援によって、米国の軍事資源は消耗していると指摘。イスラエルとハマスとの間で戦闘が起き、これにはヒズボラとイランもかかわってくる可能性があり、兵器は枯渇し、関心も逸れることになると述べた。

 「中国が攻めてくるとき」の著書があるニューシャム氏は「これらによって、米国のリソースと関心は失われる」と述べた。

 同氏は、米軍幹部らはアジア太平洋地域の戦力強化を急ぐよう国防総省に求めているが、新たな中東での紛争によって、アジア太平洋地域での戦力強化の取り組みは複雑化すると言う。

 ニューシャム氏は、バイデン政権はウクライナとイスラエルに政策を集中させているため、台湾攻撃の可能性に集中できなくなる可能性があると述べた。

 また、米国民のイスラエルへの政治的支持は台湾への支持よりも強く、中国の指導者らは、台湾を攻撃しても、米国からそれほど強い支持を得られないと考えている可能性もある。

米インド太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督が、2024年8月27日火曜日、フィリピンのマニラで米インド太平洋軍主催の国際軍事会議で演説を行った。(AP通信/アーロン・ファビラ撮影)

米陸軍、西太平洋テニアン島に新型極超音速ミサイルを配備

(2026年07月29日)
写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

「中国の『超限戦』への備え不十分」専門家が警告

(2026年07月27日)
2025年11月1日土曜日、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平国家主席(左)が韓国の李在明大統領と握手を交わした。(聯合ニュース/AP通信)

下院国防法案、中国の韓国への影響力巡り調査義務付け

(2026年07月25日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2025年4月3日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で開催されたNATO外相会議に出席するため到着した際、報道陣の取材に応じた。(AP通信/バージニア・メイヨー撮影)

リトアニア外相、ロシアの破壊工作は「侵略行為」 米軍駐留継続に期待

(2026年07月21日)
新華社通信が公開したこの写真は、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルの発射実験の様子を捉えたものだ。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

中露、スターリンク攻撃計画を極秘協議 軍事協力の実態判明

(2026年07月19日)
フィリピン沿岸警備隊が提供したこの写真には、2025年10月12日(日)、南シナ海のフィリピンが実効支配するティトゥ島(地元ではパグアサ島と呼ばれる)付近で、中国海警局の船舶(右)がフィリピンのBRPダトゥ・パグブアヤに向けて放水砲を発射する様子が写っている。(フィリピン沿岸警備隊提供、AP通信経由)

中国は依然国際法に違反 南シナ海仲裁判断10年で米軍

(2026年07月18日)
新華社通信が公開したこの写真には、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルが海面から飛び出す様子が写っている。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

米、中国のSLBM発射実験を「事前通報が不十分」と非難

(2026年07月13日)
2024年8月4日、ウクライナ国内の非公開の場所に設置されたパトリオット防空ミサイルシステムの上空を、ウクライナ空軍のF-16戦闘機が飛行している。(AP通信/エフレム・ルカツキー撮影、資料写真)

トランプ氏、ウクライナが「パトリオット」製造 専門家は生産開始に数年

(2026年07月12日)
→その他のニュース