中国、麻薬カルテルの資金洗浄に関与 薬物で米国の破壊狙う
By Matt Delaney – The Washington Times – Tuesday, June 25, 2024
米国との見えない戦いを続ける中国は、メキシコの麻薬カルテルのための資金洗浄にも関与し、その資金をもとにカルテルは、人を死に追いやる過剰摂取を蔓延させ、米国社会に対立の種をまいている―あるアナリストがワシントンタイムズに語った。
先週、中国政府がメキシコ最大の麻薬組織「シナロア・カルテル」と秘密裏に協力関係を築いているのではないかという疑いに注目が集まった。連邦検察官らによると、カリフォルニア州を拠点に麻薬から得た資金の出どころを分からなくするための計画が進められているという。中国の富豪が通貨の交換を行い、それによってメキシコの犯罪組織が資金を隠し持つことが可能になっている。
検察当局は、中国人が資金洗浄について知っていたという証拠はないと述べたが、ある元連邦捜査官は、この活動によって数千万ドルもの資金が動いたにもかかわらず、中国はなぜそれを把握していないのかと疑問を呈した。中国は国内外で国民を厳重に監視しているからだ。
この捜査官は、中国政府はカルテルとの関係を黙認していると指摘した。それによって米国を内側から破壊するためだ。
麻薬取締局(DEA)の元特別捜査官で、現在はリガク・アナリティカル・デバイス社の麻薬対策技術担当グローバル・ディレクター、マイケル・ブラウン氏はワシントン・タイムズに、「この中国人らは要するに、薬を作って、米国民を中毒にし、…分断させようとしている」と述べた。
「これは中国が持っている大きな戦略の一部だと思っている。米国の倫理観、道徳規範を弱らせ、反撃できなくするための戦略だ」
ブラウン氏は、中国によるカルテル支援を、米国に対する「非攻撃的な攻撃」のうちの一つと指摘した。
元工作員でもあるブラウン氏は、軍事基地へのスパイ活動、知的財産の窃取、サイバー攻撃は、米国の主権を少しずつ削り取ることを目指した擬似攻撃だと訴えた。
シナロア・カルテルのフェンタニル取引は拡大しており、これほど米国民の心の平穏を蝕むものはない。
フェンタニルはヘロインの約50倍も強力な合成オピオイドで、新型コロナウイルスの大流行時に米国で急増した過剰摂取による死亡の主要原因とされている。
米疾病対策センター(CDC)のデータによれば、薬物の過剰摂取は2020年春には年間約7万5000人だったが、2021年夏には年間10万人を超え、その後もこの水準が続いている。
バイデン政権下でメキシコ国境の管理が緩められたことで、麻薬取引がしやすくなった。米税関・国境警備局(CBP)によると、2023会計年度中に押収されたフェンタニルは2万7000ポンド(約12㌧)で、それ以前の2会計年度の合計を上回った。
シナロア・カルテルはフェンタニルの製造に必要な化学物質を中国から購入しており、中国は麻薬の原料の他国への販売を国家レベルで支援している。
今春発表された議会報告書は、化学薬品を国外に販売した化学薬品メーカーに、中国共産党が税金の還付を行っていると非難した。
連邦検察当局によれば、ロサンゼルスを拠点とする資金洗浄組織は、洗浄した5000万ドル以上の資金の一部で、これらの前駆体となる化学物質を購入したという。
カリフォルニア州中部地区連邦検事のマーティン・エストラーダ氏がロサンゼルス・タイムズ紙に明らかにしたところによると、米国のブローカーが中国人に、衣料品や電子機器、あるいは強力なオピオイドの製造に必要な化学薬品を製造する中国企業に送金するよう指示していた。
これらの商品はメキシコに出荷、販売され、シナロアの代表者が洗浄された麻薬資金をペソで回収していた。
エストラーダ氏によれば、メキシコに出荷された化学薬品は直接、カルテルに送られ、カルテルはこれを使ってフェンタニルやメタンフェタミンを製造し、米国内の麻薬帝国を強化したという。
検察当局によれば、関与した中国人は中国共産党の外国投資規制をかいくぐって働いていたという。
中国は国民に年間5万ドル以上の海外投資を認めていないため、彼らはブローカーを雇い、投資や不動産購入を行わせている。エストラーダ氏はロサンゼルス・タイムズに対し、ブローカーが多額の現金を手にしていたことから、疑いを持ったと述べた。
連邦検事局によると、2019~2023年までの間に、資金洗浄組織の20数人が起訴された。
元DEA捜査官のブラウン氏は、内国歳入庁(IRS、国税庁に相当)や財務省など他の機関と協力することで、中国と関係のある米国を拠点とする企業からの不正な資金流入を根絶することができると述べた。
ブラウン氏はまた、連邦政府機関は「連携が取れていない」と述べ、法執行機関は特に、裁判の証拠開示の段階で出てくる可能性のある情報収集方法の共有について警戒していると述べた。
政府の上層部がフェンタニル危機を食い止める方法を考える一方で、地域社会はその後始末をしなければならない。
モンタナ、ノースダコタ、サウスダコタといった人口の少ない州でも大きな利益が得られることにカルテルやその代理人が気づいたため、カルテルの影響力は近年、西部山岳州にまで広がっている。
ノースダコタ州中央部にあるマンダン、ヒダツァ、アリカラ族の麻薬取締責任者、チップ・ホワイト氏はワシントン・タイムズに「ここで錠剤を売ればかなりもうかる。1錠80ドルから100ドルでどこででも売れる。仕入れ値は2ドルだ」と述べた。
DEAはこの春、米国内のほぼすべてのフェンタニルはシナロア・カルテルか、そのライバルのハリスコ・ニュー・ゼネレーション・カルテルから入ってきていると発表した。