ゴールデン・ドーム防衛システムは世代を超えたプロジェクト-防衛専門家

(2025年4月25日)

2019年7月15日、ワシントンのホワイトハウス南側芝生で開催されたメイド・イン・アメリカのショーケースで展示された終末高高度防衛ミサイル(THAAD)対弾道ミサイル防衛システム。(AP Photo/Alex Brandon, File)。

By Vaughn Cockayne – The Washington Times – Tuesday, April 22, 2025

 トランプ大統領の 「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムは、おそらく2029年の大統領退任までに稼働することはないだろうが、ミサイル防衛の専門家らは、政権が適切な措置を取れば、いずれにせよ米国の安全は強化されると主張している。

 シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)の研究員らは、「航空・ミサイル防衛計画(CMPP)」の立ち上げイベントでの公開討論会で、ゴールデン・ドーム計画のアイデアを称賛した。

 彼らは、計画は防衛産業、政治家、一般市民からの世代を超えた幅広い支援を必要とする重要なステップだと述べた。

 FDDの「軍事・政治力センター」の研究員、リディア・ラフェイバー氏は、「当時、宇宙軍の副参謀長は、これを実現するには文化的な変化、つまり省庁間の文化的な転換が必要になるだろうと述べていた。そして、それを実現するには、何世代にもわたって投資を続ける政治基盤も必要になる。私たちの子供たちや孫、その子供たちの数世代先の子供たちが安心して過ごせる場をつくるためだ」と述べた。

 トランプ氏は1月下旬、大統領令によって「米国のためのゴールデンドーム」計画を立ち上げた。この大統領令は、国防長官に対し、「競合国、準競合国、ならず者国家・勢力からの弾道ミサイル、極超音速ミサイル、新型巡航ミサイルなどによる次世代型の空からの攻撃」をかわす次世代ミサイル防衛の枠組みを大統領に提示するよう求めている。

 ラフェイバー氏は、複数の政権にわたるゴールデンドームを成功させるためには、国民の支持を得ることが重要となるはずだと指摘した。だが、この計画を国民がどれだけ理解し、支持しているかは不明だ。

 討論会に参加した専門家らは、ゴールデンドームを共和党のものとか、民主党のものとかと決めつけないよう注意を促し、党派性が重要な防衛システムの進展を妨げる可能性が高いと警告した。

 FDDのCMPPシニアディレクター、ブラッドリー・ボーマン氏は、「どんなに党派的な人であろうと、長く継続する必要があり、わが国のためになる大きなことをしようと思えば、他の党派を納得させる必要がある。今すぐにそれをしようと言っているわけではない。しかし、これを党派的な枠にはめてしまうと、ゆりかごの中で殺してしまうことになる。国土を守ること以上に超党派的なことがあるだろうか」と述べた。

 パネリストらは、党派の壁がなければ、議会と国防総省はゴールデンドームの実施方法について建設的な議論ができると語った。FDDの専門家は、ミサイルや無人機から防衛するための広大な衛星インフラを実装、アップグレード、維持することに重点を置き、宇宙ベースのシステムであるべきだと言う。

 FDDのサイバー・テクノロジー・イノベーション・センターのシニアディレクター、マーク・モンゴメリー氏は、「適用されるリソースの少なくとも70%か80%は、トランプ政権中に確立されることのないシステムとなるはずだ。その上で、こう言わなければならない。『私たちは、敵対勢力が今後開発する可能性のある巡航ミサイル、弾道ミサイル、極超音速ミサイルの脅威から米国を守る』。それが未来志向の素晴らしさだ」と述べた。

パネリストらは、ゴールデンドームが軍拡競争に火をつけかねないという批判に反論した。また、統合された宇宙ベースのミサイル防衛システムは、現在の、そして新たな脅威から米国を守るために不可欠だと強調した。

 ボーマン氏は、「すでに競争は始まっていると言える。米国人は、自分の国を中心に世界が動いていると考えがちだがそうばかりでもない。ニュースを見れば分かることだが、テロリストは私たちが何をしようと関係なく、ただ私たちを殺したいだけだ。第2次世界大戦以来最大の欧州侵攻を企む独裁者もいる」

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