AIで変わる雇用 高卒者の技能職が有利に

2025年4月4日金曜日、カリフォルニア州アルタデナで、火災で被害を受けた住宅に新しい屋根と窓を作る建設作業員たち。(AP Photo/Damian Dovarganes)
By Sean Salai – The Washington Times – Thursday, May 22, 2025
初歩的な事務作業が生成AI(人工知能)に取って代わられる一方で、熟練した修理、建設、技術職が、高卒新卒者にとって有望な就職先になっている。
ワシントン・タイムズのインタビューに応じた雇用問題の専門家らは、大卒を必要とするホワイトカラーの仕事が新しい技術によって減る中で、ブルーカラーの仕事への関心が高まっているが、これは経済にとって必要な現象だ。
ユーチューブで教室を開いているテキサス州の熟練配管工ロジャー・ウェークフィールドさんは「AIが多くのホワイトカラーの仕事を自動化し続ける中、熟練工の需要は増え続けている。この最近の変化シフトは、若い人たちに、学生ローンを負うことなく安定したキャリアを築いていく道を開いている。その職種に必要なスキルを学びながら、初日から報酬を得ることができる」と話した。
ジョージタウン大学教育・労働力センターによると、2031年までの年間求人の約3分の1は、何らかの資格が必要だが大学の学位は必要ないという。
20日に発表された3057人の中学1年生から高校1年生を対象とした調査で、非営利団体「アメリカン・スチューデント・アシスタンス」は、45%が2年制大学または4年制大学に進む可能性が「最も高い」と答え、2018年の78%から減少したことを明らかにした。
さらに37%が、専門学校や技術学校、見習い制度、技術習得短期集中トレーニングを検討していると答え、2018年の11%から増加した。
ボストンを拠点とするキャリア教育カウンセリング・グループのジュリー・ラマーズ上級副社長は、「若者が複雑で進化する教育やキャリアの選択肢をナビゲートするのを助ける方法を変える必要がある。中学生のうちから、若者が自分の興味や得意なことに合ったキャリアを探せるような機会を利用する必要がある」と述べた
全米学生情報研究センターによる先月の見積もりによると、2023年から2024年にかけて、技能職の短期マイクロクレデンシャル(特定技能証明)を取得した学生は前年より5万2961人増え、10年間の合計が52万5215人に達した。
これとは対照的に、2023~2024年に授与された4年制学士号は2万4631人減の190万人となり、2015~2016年以来の低水準となった。2年制準学士号取得者数は7862人減の82万1445人となり、10年ぶりの低水準だった。
経済学者らによると、チャットGPTやAskROIのようなAIツールが、かつて大卒者が行っていたカスタマーサービス、コンテンツ作成、グラフィックデザイン、データ入力といった多くの初級レベルの業務を行うようになったことで、この傾向に拍車がかかっている。これによって、AI革命以前に成人した若者の多くが、別の技能を身に付けることを考えるようになった。
経済学者で公立フロリダ・アトランティック大学のシリ・テルイェセン副学部長は「例えば、AIが導入される前、経験の浅い営業担当者は、見込み顧客を評価したり、個別にカスタマイズした営業メッセージを作成したりするのに、多くの時間を費やしていた。AIはこうした作業の多くをこなすことができるため、営業担当者はより高次の業務に集中することができるようになる」と指摘した。
労働統計局の推計によると、最も急成長している職業は風力発電技術者で、2024年の平均収入は6万2000ドル以上、次いで太陽光パネル設置業者で5万1000ドル以上だ。
求職支援サイト「レジュメ・ジーニアス」によると、2024年に高卒資格と短期間で取得できる資格のみを必要とする高収入の仕事には、平均年収10万2420ドルのエレベーター技術者と7万3580ドルの鉄道作業員がある。
レジュメ・ジーニアスのキャリア専門家であるネイサン・ソト氏は、風力発電技術者の初任給は約6万2000ドルで、60メートル以上の高さにあるタービンを保守する仕事だと指摘する。短大や職業訓練校で短期間の技術訓練を受ければ、年収は10万ドルになるという。
「このトレンドの敗者は、人生の半分を借金の返済に費やす何百万人もの大卒者であり、大卒の仕事はAIによって時代遅れになりつつある。彼らのことも考える必要がある」
電気技師、配管工、空調技術者、商業運転手、建設労働者などの熟練工の年収は4万5000ドルから6万ドルで、技能の向上や資格の取得に伴って増加する。
カリフォルニア州を拠点とする雇用問題専門弁護士のエリック・キングスレー氏は「さらに、これらの仕事はアウトソーシングやオートメーションの対象にはならない」と言う。
大卒者の生涯平均収入は高卒者より多いが、その差は近年縮まっている。人類学、舞台芸術、社会福祉、外国語の学位を持つ大卒者の初級職の年収は、現在約4万ドルだ。
アメリカン・スチューデント・アシスタンスの11月の報告書によると、大卒でない人のうち約200万人が年間10万ドル以上の収入を得ており、そのうちのほぼ5人に1人は平均的な大卒者よりも収入が多い。
アメリカン・スチューデント・アシスタンスのジュディ・ゴールドスタイン上級副社長(マーケティング・コミュニケーション担当)は、「それには、消防士、送電線設置・修理士、商業用潜水士、電気通信線設置・修理士、航空機整備士・サービス技術者、船舶の船長・航海士・水先案内人、製粉工、救急医療技師、救急救命士、制御装置・バルブ設置・修理士などの職種がある。これらの仕事に就くことで、人生を変えることができる」と述べた。
ゴールドスタイン氏によると、ブルーカラーのトップ分野で働く労働者は、健康保険に加入している割合が他の労働者より3分の2高く、大学の学位を取得する確率が2倍高く、オートメーション化によって職を失う確率は75%低いという。
履歴書作成サイト「レジュメ・ナウ」のキャリア専門家キース・スペンサー氏は、若者は大学を卒業するよりもスキルを身に付ける方が賢明だと述べた。
「勝ち組になるのは、スキルアップをいとわず、第一線の職務に就く求職者、特に資格取得を目指したり、応募する職種に関連する経験を履歴書でアピールしたりする求職者だ」