後退するジェンダー政治 女子スポーツから男性排除を

(2025年6月14日)

2024年夏季オリンピックの体操女子予選で、平均台で競技を待つシモーヌ・バイルズ(米国)。(AP写真/Charlie Riedel)

By Kelly Sadler – The Washington Times – Monday, June 9, 2025

 五輪体操金メダリストのシモーネ・バイルズ氏は、もう一度引退すべきだ。

 週末、彼女は女性権利活動家であり元大学競泳選手のライリー・ゲインズ氏を非難した。ミネソタ州のソフトボール選手権で男性投手のチームが優勝したことを州高校連盟が祝福し、これをゲインズ氏が批判したのが原因だ。

 トランスジェンダーのマリッサ・ローテンバーガー投手は、6日の決勝戦で完封勝利を成し遂げ、3安打6奪三振を記録した。ローテンバーガーさんは、3つの州大会の試合で合計21イニング投げ、ポストシーズン全体で35イニング中、失点は2点だけだった。

 ゲインズ氏は、2022年の全米大学体育協会(NCAA)競泳選手権で男性のリア・トーマス氏とタイ記録を出したことを受けて、名が知られるようになり、その後、女子スポーツでの女性の権利を主張する活動を始めた。彼女はミネソタ州でのソフトボールの試合についてソーシャルメディアで「スター選手が男の子だから当然だ」とコメントした。

 バイルズ氏はこれに次のように返答した。「あなたは本当に病んでいる。レースに負けたからといって、こんなキャンペーンを繰り広げるなんて。ただの負け犬だ。トランスジェンダーコミュニティーを応援し、スポーツを包括的にする方法を模索するか、トランスジェンダーが安心してスポーツに参加できる新たな道を開くべきだ。すべてのスポーツにトランスジェンダーカテゴリーを設けるべきだ!!

しかし、あなたは彼らをいじめている。…確かなことは、あなたがいる限り、スポーツ界の誰も安全ではない!!!!」

 バイルズ氏はさらに続けた。「立場の弱い者をいじめるのはやめてほしい。あなたは男性を批判するが、残念なことにあなた自身が男性的で攻撃的だ」

 私は言いたい。バイルズさん、空気を読みなさい。

 過去2週間で、ミネソタ州の大会で男性が女子チームを優勝に導き、生物学的に男性であるABヘルナンデスさんがカリフォルニア州高校陸上競技選手権の女子の2種目で優勝した。オレゴン州では、2人の女子走り高跳び選手が、生物学的な女性と男性が競うのは公平でないとして、トランスジェンダー選手と表彰台に立つことを拒否した。

 ニューヨーク・タイムズ/イプソスが今年実施した世論調査によると、国民の約80%がこれを支持した。民主党または民主党寄りと自己認識する人々のうち、67%がトランスジェンダー選手が女性と競うことを許可すべきではないと答えた。

 トランプ大統領は2月、トランスジェンダーの女性が女子スポーツに参加することを禁止する大統領令に署名し、民主党が多数派を占める州から反発を招いた。4月、ミネソタ州のキース・エリスン司法長官はトランプ氏の命令に対し訴訟を起こした。同州は生物学的男性が女子スポーツに参加することを禁止する法案を可決できなかった。ミネソタ州は(性別による差別を禁止する)「タイトル9」違反の疑いで連邦当局の調査を受けている。

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、トランスジェンダーの女性が女子スポーツに参加することを「不公平」だと考えていると述べたが、同州の女子陸上競技選手を保護する措置を講じなかった。その結果、トランプ氏はカリフォルニア州への補助金を削減すると脅しをかけた。

 メイン州の民主党知事ジェーン・ミルズ氏は、トランプ氏の「反トランス」大統領令を執行しないと断言した。司法省は4月、メイン州がタイトル9に違反したとして提訴した。

 一部の民主党員は、状況は自分たちにとって不利だと気づき、後退し始めている。

 2028年の大統領選出馬を検討しているとされるラーム・エマニュエル氏は、繰り返し「トイレやロッカールームの話はやめて、教室の話をするべきだ」と述べている。コメディアンのビル・マーハー氏は、民主党がトランスジェンダー問題の方針を転換しない限り「すべての選挙で敗北する」と予測した。

 それでも、党内のリベラル勢力は、バイルズ氏を担ぎ出し、USAトゥデーなど「トランスジェンダーコミュニティーのために立ち上がったことで再びその偉大さを示した」と称賛するメディアの支持を受けており、この問題から手を引こうとしない。

 バイルズ氏は間違いなく世界クラスのアスリートだが、精神的な弱さに足を引っ張られたことがある。2021年の東京オリンピックで、1つの種目で不調だったため、団体競技を早期に辞退した。

 「心の中で葛藤しているときというのは、本当にきつい。みんながどう思うか、インターネットの反応を考えたら、世界の重圧を感じてしまう」と話していた。

 当時、メンタルヘルス問題への注目を喚起し、自身を大切にすることを重視した点で称賛され、チームを離脱したことで批判されることはなかった。チームは彼女抜きで銀メダルを争うことになった。

 現在、競技から完全に引退し、男性と競う必要がなくなり、数百万ドルの広告契約やネットフリックスの契約を結ぶなど、スポーツで他の女性から機会を奪う男性を支援する活動を行っている。

 もう一度引退すべき時が来た。

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