電力網へのサイバー脅威が増大 中国、重要インフラ内にすでに潜伏か-米議会

2021年10月6日、メイン州ポウナルで送電線が確認される。連邦エネルギー規制当局は2024年5月13日(月)、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを電力系統に送電する量を拡大する待望の規則を承認した。これはジョー・バイデン大統領が掲げる2050年までの経済脱炭素化目標の重要な一環である。(AP通信/ロバート・F・ブカティ撮影、ファイル写真)
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, December 3, 2025
中国政府は米国の電力網を制御するネットワークに侵入しており、危機や紛争時にこの秘密アクセスを利用して米国民への電力供給を遮断する可能性がある――電力網専門家が今週、議会で警告した。
米エネルギー省アイダホ国立研究所のザカリー・チューダー副所長は今週、下院小委員会公聴会で「わが国は重要インフラを標的とした前例のないサイバー脅威の波に直面している」と証言した。
チューダー氏は2日の下院エネルギー・商業委員会エネルギー小委員会で、中国の政府系ハッカーは重要な技術や情報の窃取を目的としたサイバー情報活動に加え、電力網やその他の重要インフラへのサイバー攻撃を実行するための仕組みを「事前配置」していると語った。
同氏によると、2023年に「ボルト・タイフーン」と命名された中国のサイバーグループは、「妨害工作のための長期的な配置の確保」を目的に米国の公益事業ネットワークに侵入していたことが判明した。
中国が採用する非対称戦戦略のもと、これらの作戦は情報技術システムと制御ネットワークの両方を標的としている。この戦略は「戦闘を伴わずに勝利する、あるいは直接衝突せずに敵の信頼と能力を損なうことで戦略的目標を達成する」ことを目指しているとチューダー氏は説明した。
「敵対勢力はすでに行動している。すでにわれわれのシステムに潜伏し、インフラの構造を把握し、適切なタイミングを選んで、重要業務を妨害する準備を整えている。脅威はもはや仮の話ではない」
「エネルギーインフラへのサイバー攻撃はすぐそこにある現実であり、戦略兵器として拡大している」と同氏は指摘した。
中国系の別の2組織「ソルト・タイフーン」「フラックス・タイフーン」も広範な活動に関与しているという。
チューダー氏以外にも、ロシア、イラン、北朝鮮も同様のサイバー作戦を展開し脅威となっていると証言する専門家はいる。
8州で事業を展開する電力会社エクセル・エナジーのシャーラ・アーツ副社長(セキュリティー・レジリエンス指針担当)は、中国による電力網への脅威増大について証言した。
同氏は「サイバー攻撃の目的は運用制御の妨害にある」と指摘し、危険性が高まっていると述べた。
「あらゆる部門の重要インフラ組織に対する脅威が増加傾向にある。脅威は現実的であり、高度化・持続化している」
電力情報共有分析センターのマイケル・ボール最高経営責任者は、現時点でサイバー攻撃による停電被害は確認されていないものの、脅威は増大していると述べた。
ボール氏は証言で「中国は『最大かつ最も活発な脅威』の一部であり、持続的なアクセスとスパイ活動に焦点を当て、将来的な混乱を引き起こす可能性を秘めている」と指摘した。
「タイフーンによる数々の作戦を見れば、中国のサイバー活動の規模と持続性が北米の重要インフラを危険にさらそうとしていることが分かる」
「ソルト・タイフーンが標的としている技術は、電力部門を含む重要インフラ分野全体に広く行き渡っている。そのため、ある分野を標的とした際に習得した戦術・技術・手順を、次の分野を標的とする際に転用することが容易になる」
ボール氏は北米電力信頼性機構(NERC)の上級副社長も兼任している。NERCは電力会社の統括組織であり、過去にはコストの懸念から送電網セキュリティー強化に反対してきたと批判されてきた。
カーネギーメロン大学戦略技術研究所の研究ディレクター、ハリー・クレイサ氏は、人工知能(AI)ブームが前例のない電力需要を生み出していると証言した。これにより脆弱な電力網が拡大しているという。
「電力システムのわずか10~20%しか連邦政府のサイバーセキュリティー監督下に置かれておらず、産業エコシステムは急速に多様化している。さらに、統治機構は旧式で、分断されているためシステムの脆弱性に対処することができない。こういった現状は、AI競争と重要サービス双方の観点から非常に危険であり、持続不可能だ」
「方向が定まらないまま構築されていけば、敵対国が支配するサプライチェーン(供給網)への依存が固定化され、われわれの攻撃対象領域が拡大するリスクがある。中国は今この瞬間にもそれを悪用しようとしている」
