インスタグラム、AIとの会話を広告に活用 政治的利用に懸念

フランスのパリで開催されたVivatech展示会で、メタのロゴが映し出されている(2023年6月14日水曜日)。欧州連合(EU)は2024年5月16日木曜日、フェイスブックとインスタグラムがオンライン上の児童保護を怠っている疑いについて新たな調査を開始した。これはソーシャルメディアプラットフォームに対するEUの厳格なデジタル規制に違反する可能性がある。(AP通信/ティボー・カミュ撮影、ファイル写真)
By Mary McCue Bell – The Washington Times – Thursday, January 1, 2026
一部のインスタグラムユーザーは、自身の発言や検索内容を反映した政治広告を目にするようになるかもしれない。
これは、インスタグラムのプライバシーポリシーの変更によるもので、新ポリシーでは、親会社メタの人工知能(AI)との会話を、エクスペリエンスや広告のパーソナライズに利用することが認められている。
アルゴリズムは以前から、ソーシャルメディア上でのやりとりによって、各ユーザーにパーソナライズされてきた。今回のポリシー更新により、AIとのやりとりがその要素に加わることとなった。
インスタグラムは昨年12月16日に新たなAI計画を開始した。ユーザーがインスタグラムの検索バーなどでメタAIとやりとりをすると、インスタグラムはその内容を利用して、そのユーザーに関連性の高い広告やコンテンツを表示する。
メタ社の新方針に、多くの権利擁護団体が反発している。
36のプライバシー保護、消費者保護、子供の権利、市民権擁護団体、研究者らの連合が、連邦取引委員会(FTC)にメタの計画を阻止するよう求めた。
連合はFTCへの書簡で、「生成AIにより、商取引への監視がかつてない規模で拡大している。懸念すべき事態であり、規制をかけなければ、壊滅的で取り返しのつかない事態を招きかねない」と警告した。
メタは新方針の導入に際し、ハイキングへの関心を例に挙げ、AIとのやりとりがいかにターゲティングコンテンツにつながるかを説明している。
ユーザーがメタAIとハイキングについてチャットをすれば、アルゴリズムはユーザーがハイキングに関心があると学習する。その後、ユーザーにはハイキンググループの推奨やトレイルに関する投稿、登山靴の広告が表示される可能性がある。メタは、これは誰かが同様のコンテンツを投稿したりリンクを貼ったりすることと大差ないと述べている。
このAIの進化は、政治的な影響を及ぼし得る。メタは、ユーザーが政治的見解や性的指向、労働組合への加入などについてメタAIと会話をしても、それを利用して、広告に反映させることはないとしている。これらは「居住地域の法律によって特別な保護を受ける可能性がある」ためだ。
ブルッキングス研究所技術革新センターのダレル・ウェスト所長は、政治について直接会話した内容が利用されなくても、他の事柄が指標になる可能性があると指摘する。企業がユーザーの政治的見解を推測する方法は数多く存在するからだ。
例えば、ユーザーが再生可能エネルギーに関心があるとメタAIに話せば、メタはこれを関連コンテンツや広告の提供に利用する可能性がある。この会話は、政治的見解を巡る禁止事項に当たらないため、その情報は政治的コンテンツのターゲティングに利用可能だ。
同様のことは、再生可能エネルギーに関する投稿やコメントにも当てはまる。
ただし、再生可能エネルギーに関する考えを理由に特定の政治候補者への支持を明示した場合、その会話は政治的な性質を持つため制限の対象となる。
ニューヨーク大学(NYU)テクノロジーポリシー・センターのスコット・バブワ・ブレナン所長は、自分の関心事に取り組んでいる候補者の広告が表示されることは、それほど悪いことではないと指摘する。
ブレナン氏は、個人データの広告などへの利用には常に懸念を抱いているとしつつも、関連性の高い広告が消費者に届くのであれば、大きな実害はないという主張には同情的な見方を示す。
しかし、AIとの会話を広告に反映させるようになれば、「極めて精密なレベルでのターゲティングが可能になる」とウェスト氏は言う。いずれ、詳細な個人情報の取得が常態化するようになり、ターゲティングが個人レベルにまで細分化される可能性があるということだ。
高度なターゲティングによって、特化したコンテンツだけが集中的に表示され、他の視点が見えなくなることで、米国内の政治的分断や極端主義を悪化させる恐れもある。ウェスト氏は「群衆の心理を巧みに操り、彼らが聞きたいことだけを正確に伝えることができるようになる。非常にパーソナライズされた政治となり、極端主義をさらに激化させかねない」と語る。
ウェスト氏はまた、ユーザーはAIとの会話がプライベートなもので、秘密は厳重に守られていると思っているが、実際にはそうではないことに気づくだろうと強調した。
AI会話を通じたデータ収集や、それを政治広告に利用することを監視する国家レベルの法律は、ほとんど存在しない。ミネソタ州など一部の州は、これに対抗する取り組みを行っている。
ミネソタ州消費者データプライバシー法は、個人データを用いた販売、プロファイリング、ターゲティング広告を拒否する権利を消費者に認めている。また、AIによってなされるものを含め、自身に関して自動的に判断が下されることに異議を唱える権利も与えている。
トランプ大統領は最近、州によるAI規制を禁じる大統領令に署名しており、今後、新技術の規制を巡る法廷闘争が発生する可能性がある。