バイデン大統領が行政命令乱発、共和党は法廷で対抗
By Alex Swoyer – The Washington Times – Sunday, March 14, 2021
共和党の司法長官らが、バイデン大統領の記録的数の大統領令への攻撃を強めている。
トランプ前大統領が指名した多数の保守派連邦判事らのおかげで、有利な法廷闘争が展開されるのではないかとみられている。
気候変動と移民に関するバイデン氏の対応に対する訴訟が、地裁で進められている。地裁には、トランプ氏が指名した判事174人が着任している。
さらにトランプ氏が指名した判事は、連邦高裁では54人、最高裁では3人が着任している。
共和党政権の州の司法長官らはワシントン・タイムズに対し、バイデン政権の選挙に関する連邦規則、軍、学生スポーツへのトランスジェンダーの参加、さらには新型コロナウイルス感染拡大に対する権限を抑制するため、法廷に訴えていく意向だ。
共和党司法長官連合の政策担当委員長で、アラバマ州司法長官のスティーブ・マーシャル氏は、「準備を進めている。多くの州で訴えを起こすことができる。流れができてきており、進める必要がある」と述べた。
バイデン氏は、就任後数週間で30本以上の大統領令に署名した。近年の他のどの大統領よりも多い。保守派は、この一方的な行動を、権力の乱用であり、憲法が定めた権力の分立に抵触するとみている。
マーシャル氏は、バイデン氏のこれらの命令を「肥沃な訴訟畑」と呼んだ。
12州が1月にバイデン氏の気候変動に関する大統領令をめぐって政権を提訴した。排出削減の推進を目指し、「温暖化ガスの社会的コストに関する省庁間ワーキンググループ」を設置するための命令だ。
訴状によると、ワーキンググループは当初、2019年~2020年の米国の二酸化炭素、メタンガス、窒素酸化物排出のコストを9兆5000億㌦と見積もっていた。
州は先週、連邦裁判所への訴状で、大統領令は権力の分立の原則に反していると主張している。憲法または議会を通過した法律の下で、バイデン氏にはこのような措置を取る権限はないと訴えている。
ミズーリ州のエリック・シュミット司法長官は、「光熱費の上昇から失業まで、連邦規制が大幅に拡大されたことで、州内のほぼすべての世帯が影響を受ける可能性がある。それが、この大統領令を停止し、ミズーリ州の家庭を守るために州の連携を主導している理由だ」と述べた。
オードレー・フライシグ判事が裁判を担当する。フライシグ氏は、オバマ大統領が指名し、ミズーリ州東部を管轄している。
しかし、保守派判事が共和党員らの裁判を担当する可能性が高まっている。
トランプ氏の就任時、連邦判事112人が空席だった。当時の多数派上院院内総務ミッチ・マコネル氏(共和、ケンタッキー州)の支援を受けて、そのほとんどを埋め、裁判所の保守的傾向は強まった。
オバマ氏が就任した時、空席は53、ジョージ・W・ブッシュ氏の時は80、バイデン氏が先月、就任したとき、空席は57あった。
テキサス州とアリゾナ州は、移民の退去処分を停止するバイデン氏の大統領令は違法として提訴した。テキサス州南部を管轄し、トランプ氏が指名したドリュー・バーネット・フィップトン判事は先月、この大統領令を停止した。
アリゾナ州では、不法移民の逮捕、退去の件数を制限する規則を違法とする訴えも起きている。
アリゾナ州のマーク・ブルノビッチ司法長官は、「犯罪者、新型コロナウイルスを州内で拡大させる可能性のある人々ら数千人を無条件に解放することは、不道徳であり、連邦法に抵触する」と指摘した。
ブルノビッチ氏は、戦いはまだ続くと述べた。
「今、起きていることは左派、極左が取り組んでいることであり、大統領令によってできるだけ多くのことを実行し、反対する人々を排除しようとしている」
ブルノビッチ氏によると、共和党はさらに、現政権が廃止しようとしているトランプ政権の政策の一部を維持するための訴訟も計画している
オハイオ州のデーブ・ヨスト司法長官による最高裁への申し立てがそのうちの一つであり、他の18州の司法長官らもこれに加わった。中絶に連邦予算を使用することに関する判断を求めるもので、バイデン政権は、これを阻止しようとしている。
アーカンソー州のアサ・ハチソン司法長官(共和)は、最高裁の構成は6対3で保守派が優勢となっていることから、共和党主導の訴訟が支持される可能性はあるとの見方を示した。
「いくつもの大統領令が出されているが、大統領はそれらを活用し、さらに拡大するだろう。これは憲法上の問題であり、検証されるべきだ。連邦裁判所で認められることを望む」
リベラル派シンクタンク「ピープル・フォー・ザ・アメリカン・ウェイ」の上級研究員エリオット・ミンクバーグ氏は、地裁レベルでトランプ氏指名の判事が多く、バイデン政権にとって問題となる可能性があることを認めている。
「保守的傾向の強いトランプ氏指名の判事が増え、裁判が有利になっている。それらを乗り越えられる可能性は十分にあるが、メリック・ガーランド氏が率いる司法省がそのために尽力することは間違いない」
バイデン氏の大幅な規制拡大の阻止を裁判所に期待しているのは、共和党政権の州だけではない。権利擁護団体もこれに同調している。
西部エネルギー連盟は、連邦政府管理地の石油・ガス生産への貸与を凍結する措置に反対している。
会長のカスリーン・スガマ氏は今月、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「勝つチャンスはある。トランプ氏が据えた230人以上の判事が、大きな役割を果たす」と述べた。