バイデンのあまりに無責任な国境管理
By THE WASHINGTON TIMES – – Sunday, May 2, 2021
ANALYSIS/OPINION:水曜日の夜の連邦議会合同会議で行われたバイデン大統領による演説から、ものの見事に抜け落ちていたものは、彼が恥知らずにも、是正を行わなかった――あるいは、そのことを認めようともしなかった――南部国境における不法移民の危機的状況である。
「メア・クルパ(謝罪を指す)」と言ってしまえばよかったかもしれないが、そのような言葉は、スピーチの指示カードにも、テレプロンプターにもない。
バイデン氏は、就任100日目の前夜に国民に「包括的な移民改革」を形式的に呼び掛けただけで、それにも、印象の薄い、説得力の無い67分のスピーチの終わり頃にやっと、触れただけだった。
その時でさえ、彼が1月20日に就任して以来、テキサス州、アリゾナ州、ニューメキシコ州などに入ってきた制御不能の不法移民の急増の責任を取るという素振りを見せなかった。
バイデン氏は、彼の前任者、ドナルド・トランプ大統領が、国境を安全にするために取った行動のほとんどを廃止することによって、大統領執務室に到着して数時間にもならないうちに、この機微な問題を一気に悪化させたのであった。よりにもよって、彼は、国境の壁の建設を止め、移住者や将来の庇護希望者のための「メキシコ滞在政策」を終了させたのだ。
米税関・国境警備局の統計によると、3月だけで、17万2331人の移民が南西国境で拘束され、少なくともその人数は、月間としては2006年以来、最高だった。それは、2月の10万441人、1月の7万8442人と比べても増加を示している。
大統領は、彼が管理を緩めた国境の人間津波のことに触れなかったが、オーガスト・プリューガー下院議員は、それに言及した。
「われわれの国境での危機に対する言及はなかった」と、このテキサス州選出共和党下院議員は、バイデン氏が、数兆㌦の仕事リストを読み上げた直後、ツイッターで不満をぶちまけた。
「バイデンは、“何もしないということは、選択肢にない“と、言っただけだった。そういうことなら、大統領、あなたの政権は、なぜ、われわれの国境の危機に行動を起こさないのか」と、プリューガー氏はツイートした。「何も手を下さないことは米国人の安全をあやうくするものだ」とも。
バイデン氏は、正確に言えば「何もしていない」訳ではない。彼は確かに、移民管理官に「不法移民」という呼称を止めて、その代わりに「登録されていない非市民」と呼ぶようにとの命令を出した。
バイデン氏の施政方針演説が行われた翌日の木曜日に、ケーブルテレビ、FOXビジネスのインタビューで、トランプ氏は、不法移民は「制御不能」だと述べた。彼は、言葉を続けて、それが、沈静化しなければ「それは、われわれの国を破壊するであろう」と言った。そう言ってもほとんど誇張ではない。国が国境の管理能力を失えば、国は主権を失うのである。
トランプ氏は、バイデン氏が引き継いだ強力な国境管理態勢を、そのまま維持しておりさえしたら良かったのだと述べた。
無論、彼は、そうしなかった。当然、それは、彼の身から出たさびで。国も大いにその被害を受けているのだ。裏返せば、大統領が、彼の演説の中でそれに触れなかった理由もそれで分かるというものである。
彼の政権の不法移民の爆発的増加への憂慮すべき無関心ぶりをさらにはっきり示しているのは、バイデン氏が3月24日に、この問題の担当者にカマラ・ハリス副大統領を指名したことである。
あれから、5週間以上経っているのに、彼女はまだ国境に足を運んでいない。それは、あまりにも無責任である。