五輪初のトランスジェンダー選手出場、「公正な競争奪う」/女性人権団体が激しく反発

(2021年6月23日)

In this April 9, 2018, photo, New Zealand’s Laurel Hubbard reacts after failing to lift in the snatch of the women’s +90kg weightlifting final at the 2018 Commonwealth Games on the Gold Coast, Australia. Hubbard will be the first transgender athlete to compete at the Olympics. Hubbard is among five athletes confirmed on New Zealand’s weightlifting team for the Tokyo Games. (AP Photo/Mark Schiefelbein) **FILE**

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, June 21, 2021

 

 

 五輪史上初のトランスジェンダー選手の東京五輪出場が決まったことが、波紋を呼んでいる。女性の権利擁護団体からは「女性選手から安全、機会、公正な競争」を奪うものだとして激しい反発の声が上がっている。

 

 この選手はニュージーランドの重量挙げ87㌔超級、ローレル・ハバード選手(43)。男性として生まれたが、35歳で性別適合手術を受け、女性重量挙げ選手として活動している。適合手術後から頭角を現し始め、国際大会でも上位を占めている。弁護士で、国際重量挙げ連盟(IWF)の技術職員マーク・ハウス氏は、スポーツニュースサイト「インサイド・ザ・ゲームズ」でハバード選手について「適合手術前は、才能はあったが世界レベルの選手ではなかった」と指摘、出場辞退を求めた。

 

 女性団体「女子スポーツを守れ」のベス・ステルツァー会長は「女子競技への男性の参加を認めることは、恥ずべきことであり、女性スポーツを愚弄(ぐろう)するもの」と強く非難。

 

 カナダの元陸上選手で、カナダ選手権で優勝経験もあるリンダ・ブレード氏は、「女性のスポーツ史の中で軽蔑すべき日」と指摘、「卑劣であり、『多様性』でも『平等』でもない」と訴えた。

 

 ニュージーランド・オリンピック委員会(NZOC)のケレイン・スミスCEOは、ハバード選手の代表選出は「国際オリンピック委員会(IOC)のトランスジェンダー選手に関する指針に基づくもの」とした上で、「スポーツでの性自認は、非常に繊細で複雑な問題であり、競技での人権と公正の間のバランスが求められる」と述べた。

 

 ハバード選手以外にも東京五輪に参加する可能性のあるトランスジェンダーの選手が2人いる。いずれも米国人で、自転車のBMXフリースタイル女子代表補欠のチェルシー・ウルフ選手と、陸上のセセ・テフラー選手。テフラー選手は、間もなく行われる代表選考試合に臨むが、代表入りの可能性は低いとみられている。

 

 保守系団体「米国を気遣う女性」は、「男性と女性の間には、性自認を変えても変えられない生物学的違いがある。競技団体は、これを無視することで、ウォーク(人種差別などに敏感なこと)な左派をなだめるために、オリンピック女性選手から安全、機会、公正な競争を奪っている」と訴えた。

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