バイデン政権の海軍予算削減に議会が反発
By Joseph Clark – The Washington Times – Tuesday, June 22, 2021
共和、民主両党の議員らが、海軍の「投資のための投資引き揚げ」戦略をめぐって、台頭する中国の攻撃を受けやすくなると警鐘を鳴らしている。
厳しい予算決定と将来直面する脅威を考慮に入れて海軍は、15隻を退役させ、調達を約9%削減し、予算を将来の戦闘能力のための研究、開発に予算を振り向けることを表明している。この計画では、現在の能力への投資を引き揚げ、将来の戦争の技術に投資する。
議員、防衛専門家らは、この戦略は過去に失敗しており、必要とされている能力の整備が遅れると懸念した。
さらに、この計画が表明される数カ月前、退任直前のインド太平洋軍のフィル・デービッドソン司令官が議会証言で、中国は、今後6年以内に台湾をめぐって米国との軍事衝突へと発展する可能性を指摘した。これまで考えられていたよりも、かなり早いタイミングでの軍事衝突の予想となっている。
デービッドソン氏の後任、ジョン・アキリーノ司令官も5月、指名承認公聴会で同様の発言をした。
この予算措置によって、米国が投資のための投資引き揚げを実施する一方で、短期的に中国共産党(CCP)に、軍備増強継続の機会を与えることになる。一部議員らは、米中関係が難しい時期に差し掛かっている中で危険なシグナルを送ることになると警告している。
下院軍事委員会の共和党有力委員、マイク・ロジャース氏は、「バイデン大統領が提案した海軍予算は、中国などの敵対国にひどいメッセージを送り、今後数年間、米国を弱い立場に置くことになる。CCPは現在、世界最大の陸軍と海軍を擁している。保有する兵員、艦艇は米国よりも多い。それに対しバイデン大統領の予算案では、海軍の規模が縮小される。中国を阻止し、必要ならば中国と戦い、勝利するために必要な資源を戦士らに提供するかどうかは議会次第だ」と述べた。
海軍将校として乗艦していた民主党のエレーヌ・ルリア下院議員(バージニア州)は、下院軍事委員会での公聴会でマイケル・ギルデー海軍作戦部長への質問の中で、以下のように状況を説明した。
「近い将来に中国が台湾に侵攻する可能性がある時であり、来年、15隻を退役させるのは不適切だ。政権が提示したものは相当にひどいものだと思っている。とりわけ、国防総省はだ。適切な選択肢はそれほど多くなかったが、方法はあった」と述べた。
政治家らは以前から、中国の脅威が高まっていることを知っていた。しかし、デービッドソン氏の証言は、中国との戦争の脅威がこれまで思われていた以上に迫っており、バイデン政権の予算提案は、その緊急性を反映していないと警鐘を鳴らす役割を果たした。
米海軍大佐でヘリテージ財団の海上戦と先進技術を専門とする上級研究員ブレント・サドラー氏は、「今年のこの予算で注目すべき点は、何年も前からこのような認識を持ち、超党派でこのような認識があるということだ。依然として軍事力削減、予算削減への指向が根強い」と述べた。
「何年も前から、同様の考えを持ち、この脅威に関して警鐘を鳴らすべきであることを思い出させてくれる出来事が実際に世界で起きており、実際に軍備が増強されている。その一方で、米国の外交は、言葉だけにとどまり、影響力は大幅に弱まった」