中国、カザフに派兵の用意 上海協力機構が支援を表明
By Bill Gertz and Mike Glenn – The Washington Times – Monday, January 10, 2022
中国が主導する上海協力機構(SCO)は、反政府デモが発生したカザフスタンへの介入の用意があることを表明、ロシアに続いて中国がカザフに派兵する可能性が指摘されている。
ロシアのタス通信によるとSCOは「要請があれば」カザフを支援すると表明。情勢が安定化しなければ、中国からの派兵の可能性もあることを示唆した。中露など8カ国からなるSCOにはカザフも加盟している。
中露はカザフとの国境線が長く、情勢の不安化を機に、カザフなど中央アジアでの地政学的影響力を強化することを狙っている可能性がある。
米シンクタンク、国際評価戦略センター(IASC)の上級研究員で中国問題専門家のリック・フィッシャー氏は、カザフをめぐるロシアとの連携は、中国を中心とする世界秩序「パックス・シニカ」の前触れと指摘、「中国が世界に、直ちに軍事力を投射し、親中の独裁国を支援し、抑圧された国民の意思を無視するようになる」と指摘した。
歴史的に他国への不介入の姿勢を取ってきた中国だが、フィッシャー氏によると、中国軍は国外への介入能力の整備を進めており、大型輸送機「運輸20」の増強もその一環とみられている。フィッシャー氏は、20機あれば、1000人の兵員と40両の装甲車両を輸送でき、「武装していない抗議デモ参加者らの殺戮には十分だ」と述べた。
SCOの張明事務総長は7日の声明で、「SCO加盟国としてのカザフの安定と社会的調和は、この地域の平和と安全の鍵」と指摘、安定化への介入に前向きな姿勢を示した。
ロシアはカザフの要請を受けて軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)に基づいて約2500人の平和維持部隊を派遣、情勢は既に沈静化に向かっているとみられている。
ロシアのプーチン大統領はCSTO加盟国首脳とのオンライン会合で、旧ソ連構成国が同様の暴動が発生すれば軍事支援を行うことを表明、周辺国との関係強化へ意欲を示している。