イラン原発が原因不明の緊急停止

(2021年6月25日)

In this Oct. 26, 2010, file photo, a worker rides a bicycle in front of the reactor building of the Bushehr nuclear power plant, just outside the southern city of Bushehr. (AP Photo/Mehr News Agency, Majid Asgaripour, File)

By – Associated Press – Sunday, June 20, 2021

 イラン・テヘラン(AP) – イラン唯一の原子力発電所が原因不明の緊急停止に陥ったと同国の国営テレビが報じた。

 国営電力会社タバニールの職員、ゴラマリ・ラフシャニメール氏は、20日に放送されたトークショーで、ブシェール原発の停止は19日に始まり、「3、4日間」続くだろうと述べたが、詳しい説明はなかったものの、停電の可能性もあると述べた。

 イランが南部の港町ブシェールの原発の緊急停止を報告するのは今回が初めて。この原発は、2011年にロシアの支援を受けて稼働した。イランは、核拡散防止策のため、使用済み燃料棒をロシアに送り返すことを義務付けられている。

 この報道の一方、2015年の核合意を復活させるために、イランと主要国との間で20日に行われた協議で、さらなる進展があったことを各国の外交トップが明らかにした。米国のトランプ前政権は、イランの核開発を抑制するために交わされた核合意から離脱、現在、復活のための交渉が進められている。今後は交渉に参加している政府が政治的決断を下すことになるという。

 タバニールは同日中に、ブシェール原発の修理を行っているとの声明を発表したが、詳細は明らかにしていない。修理作業は25日までかかるとしている。

 核担当官のマフムード・ジャファリ氏は3月、2018年に米国が発動した金融取引への制裁のため、ロシアから原発の部品や機器を調達できず、原発が稼働しなくなる可能性があると述べていた。

 ブシェール原発は、イランではなくロシアで生産されたウランを燃料としており、国連の国際原子力機関(IAEA)が監視している。IAEAは、報道について把握していることを認めたが、コメントは拒否した。

 ペルシャ湾北部の海岸にあるこの原発は、イランのパーレビ国王治世下の1970年代半ばに建設が開始された。1979年のイスラム革命後、イラン・イラク戦争で何度も標的にされた。その後、ロシアがこの施設を完成させた。

 活断層の近くにあり、強い地震に耐えられるように作られており、これまでにもたびたび地震が起きている。この数日内にこの地域での大きな地震は報告されていない。

 一方、核合意の復活をめぐる第6回交渉の最終会合が20日、ロシア、中国、ドイツ、フランス、英国、イランが参加して行われ、欧州連合(EU)が議長を務めた。

 交渉に参加している国々は、トランプ大統領(当時)が2018年に一方的に離脱した核合意に、いかにして米国を復帰させるかという課題に取り組んできた。トランプ政権は、イランにさらなる譲歩を伴う協定の再交渉を迫るため、制裁措置を復活、増強させていた。

 今回の会合は、18日に行われたイラン大統領選で、強硬派のエブラヒム・ライシ司法府代表が地滑り的な勝利を収めてから初めて。一部の外交官は、ライシ師の当選により、核合意への復帰が困難になるのではないかと懸念を示している。

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