バイデン氏の土地管理局長官指名に共和党が異議
By Valerie Richardson – The Washington Times – Wednesday, June 16, 2021
トレイシー・ストーンマニング氏は、友人がアイダホ州クリアウォーター国有林での木材売却を阻止するために、木に犬くぎを打ち込んだことを知ったが、これによって死者が出る可能性もあり、通報することもできたが、トレイシー・ストーンマニング氏はしなかった。
代わりにストーンマニング氏は、タイプライターを借りて、わなを仕掛けた木の場所を記した米森林局あての匿名の手紙を書き直した。スペルミスを直し、下品な言葉も削除し、友人に頼まれた通りに郵送した。
今から30年前のことだった。当時、モンタナ大学の大学院生だった。そして今、エコテロリストに協力し、その正体を隠すことに協力した当時の判断が、土地管理局長官の大統領指名が得られるかどうかに影響を及ぼしている。
上院エネルギー・天然資源委員会の共和党トップであるワイオミング州のジョン・バラッソ上院議員が、指名反対の先頭に立っている。バラッソ氏は、ストーンマニング氏が「エコテロリストに協力した」と指摘している。
バラッソ氏の報道官は、14日に発表した声明で、「彼女は当局に通報しなかった。その代わり、手紙の出所を隠すために時間と労力を費やした。これらの情報を踏まえ、バラッソ筆頭委員は、彼女が土地管理局の局長を務める資格はないと考えている」と指摘した。
1989年のこのくぎ打ち事件に加え、2008年にモンタナ州の開発業者から受けた低利の個人融資を昨年まで返済していなかったことが、バイデン氏によるストーンマニング氏承認プロセスの争点となっている。2人がすでに、指名から外されている。
リベラル系の権利擁護団体「センター・フォー・ウェスタン・プライオリティーズ」は今週、ストーンマニング氏を擁護し、1993年の裁判で最終的に証言したこと、「エコテロリストの有罪判決に協力し、土地管理者に警告することで、正しいことをした」と指摘した。
同センターのジェニファー・ロカラ事務局長は、2020年の上院選でモンタナ州のスティーブ・デインズ上院議員に対抗するために、かつての上司であるスティーブ・ブロック元州知事を彼女が支持したことへの仕返しをしようとしていると共和党を非難した。
「今回の悪意ある攻撃から、デインズ氏とバラッソ氏が、モンタナ州と西部の人々のために正しいことをするのではなく、政治的な恨みを抱いているだけであることは明らかで、土地管理局にはトレイシー・ストーンマニング氏のようなリーダーがふさわしい」
ブロック氏はまた、自身の元首席補佐官だったストーンマニング氏を擁護した。ストーンマニング氏を採用したとき、この事件のことは知っていたという。
「30年前、彼女が大学生だった頃、ある男を刑務所に送る手助けをした。これは秘密でも何でもない」
しかし、懸念されているように、ストーンマニング氏は、1989年の事件にどの程度関与していたのかを明らかにしていない。
バラッソ氏の報道官は、「ストーンマニング女史は、委員会の質問書で、くぎ打ち『疑惑』の関連で証言したことを委員会に伝えた。彼女はまた、自分はいかなる捜査の対象にもなっていないと述べた。実際に木にくぎが打ち込まれ(当事者は有罪となった)、彼女は、証言する代わりに免責を受けたことを明らかにしなかった」と述べた。
ワシントン・タイムズは、ストーンマニング氏にコメントを求めた。
デインズ議員の報道官は、デインズ氏はストーンマニング氏の行動に疑念を持っていると述べている。
「ストーンマニングさんがタイプし直した手紙の内容をデインズ上院議員は知っており、その憎悪に満ちた口調を憂慮している。すぐに警察に通報しなかった彼女の判断に新たな疑問が生じている」
55歳のストーンマニング氏は、土地管理局長になれば、西部を中心とした2億4500万エーカー(約100万平方キロ)の連邦保有地での放牧、伐採、エネルギー開発、その他の商業活動を管理する機関を率いることになる。
ストーンマニング氏は、市民的不服従、直接行動、エコテロリズムなどの活動を行う過激な環境保護団体「アース・ファースト」で活動していた際に、くぎ打ちに関わることになった。アース・ファーストは、1980年にデイブ・フォアマン氏が共同で設立した。
1993年の連邦裁判でストーンマニング氏は、1988年に大学院に入学してすぐにアース・ファーストに関わるようになり、くぎ打ち事件の5人の被告のうち4人を知っていたと証言した。
「基本的には同じ仲間内の友人たちと付き合っていた」
ストーンマニング氏は1989年4月、大学でジェフリー・C・フェアチャイルドとジョン・P・ブラウントに出会ったという。ブラウントは「スパイサー」というニックネームで呼ばれ、彼女にタイプされた手紙を手渡し、それを郵送するように頼んだという。
裁判記録の一部にあるタイプし直した手紙から、500ポンド(約230グラム)の重さの8~10インチ(20~25センチ)長さの犬くぎが木に打ち込まれたことが分かる。その内容は次のようなものだ。「この計画のために、私たち11人は9日間かけて、ひどい天候の中、作業員がけがをせず、犬くぎを打ち込んだことが分かるように、くぎを打ち込んだ木に印を付ける必要があった。大半の木は下から10フィート(3メートル)以内に打ち込まれていたが、他の多くの木は150フィート(45メートル)の高さまで打ち込まれていた」
手紙を読んだ後、ストーンマニング氏は法廷で「少しショックを受けた。こんなことが起きているとはまったく知らなかった」と述べた。
その上で、「手紙を受け取って、一晩考えてから、郵送しようと思ったが、その前にもう一度タイプし直すことにした」と語った。
なぜ郵送したのかについてストーンマニング氏は「あの木にくぎが打ち込まれていることを知ってもらいたかったからだ。打ち込まれたくぎのせいで誰かがけがをしてほしくないからだ」と語った。
タイプライターを借りた理由については、「自分のパソコンに入れたくなかったから」と答えている。
1993年のAP通信の報道によれば、アービッド・E・ハートリーとニール・K・マクラインの2人は、樹木への犬くぎ打ち込みの罪を認め、ブラウントとフェアチャイルドを含む他の3人に不利な証言をすることに同意した。
連邦陪審員はブラウントとフェアチャイルドに有罪判決を下した。ブラウントは17カ月の懲役刑に処せられた。
ストーンマニング氏は、2013年のミズーリアン紙のインタビューで、ブラウントから手紙を渡された後、「私の指紋が全面に付いている」ことに気づいたと語っていた。
「手紙を燃やしてその場を立ち去り、かかわらないようにするのは簡単だったが、木にくぎが打ち込まれ、伐採業者が入ってくるとけがをするかもしれなかったので、それは間違いだと思った。だから、手紙を出した」
1991年にアース・ファースト機関誌の編集者を務めていたストーンマニング氏は裁判で、アース・ファーストがエコテロリズムに共感していることは秘密ではなかったが、他のくぎ打ち事件については知らなかったと述べている。
ロサンゼルス・タイムズ紙は1990年、フォアマン氏が著書『Ecodefense: A Field Guide to Monkeywrenching』の中で、「木にくぎを打ち込む正しい方法と、ブルドーザーを使えなくする際に、ガソリンタンクに砂を入れる方が砂糖を入れるよりもはるかに効果的である理由を説明している」と報じた。
後にフォアマン氏は、この方法は伐採を止めるためのものであって、人を傷つけるためではないと強調した。カリフォルニア州の伐採業者ジョージ・アレクサンダーさんは、1987年に木に打ち込まれた犬くぎに帯のこが当たって大けがをした。折れたノコギリの刃が飛んできて、頭に当たり、顔を切った。