企業への規制強化進めるバイデン政権

(2021年10月27日)

2021年10月20日(水)、ペンシルベニア州スクラントンにあるElectric City Trolley Museumを訪問したジョー・バイデン大統領(AP写真/Susan Walsh)

By Jeff Mordock – The Washington Times – Thursday, October 21, 2021

 バイデン大統領は就任初日に、大小の企業に新たなルールを課す際には、建設的なものであっても、定義があいまいな目標や恩恵については見直すようよう各省庁に命じ、規制強化の意向を明らかにした。

 定量化が難しい、または不可能な利益であっても規制を強化するという命令は、企業のCEO(最高経営責任者)たちの背筋を凍らせた。「人間の尊厳」や「将来の世代の利益」といった定義が明確でない目的のために、企業の成長が阻害されるのではないかと恐れているからだ。

 保守系経済シンクタンク、アメリカン・アクション・フォーラムのダグ・ホルツイーキン会長は、「これまでの政権で見た中で最も攻撃的なものだ。規制を増やすことは一つの方法だが、これは規制の方法そのものを変えるものだ。民間企業への影響に関係なく、好きな規制を課すことができるようになる」と述べた。

 この命令は、規制を承認する前に政府が行う伝統的な費用対効果の分析を放棄するもので、企業の力を抑制するためにバイデン氏が署名した一連の行政措置の一つだ。

 バイデン氏の規制は、企業と、反競争的と見なされたビジネス慣行を変革するための計画のロードマップとなる。バイデン氏は、この規制がなければ、企業は競争を阻害し、価格を上げ、消費者の選択を制限することが可能になると指摘。この規制によって、より高い賃金や雇用の流動性を要求する労働者の力が強化されると述べている。

 保守派は、この規制によって企業のコストは増加し、経済に悪影響を与え、雇用の増加を妨げると主張している。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う封鎖の緩和後に経済が回復していく中で、企業にさらなる規制を課すことはリスクが大きすぎるとも言われている。

 バイデン氏は大統領就任後の9カ月間に、「経済的に重要」とみなされる297以上の規則を発行した。官報告示(フェデラル・レジスター)によると、これらの規則は年間1億ドル以上の影響を及ぼす可能性がある。

 2020年、トランプ大統領は経済的に重要とみなされる規則を261件発行した。そのうち36件は規制緩和で、コストを増加させる規制の総数は225件に減少したことがフェデラル・レジスターに示されている。

 就任1年目のトランプ氏は、このような規制を199件発行したが、完了したのはそのうち88件だけだった。

 バイデン氏の規制強化は今も進められている。「規制・規制緩和アクション統一アジェンダ」は今春、72の連邦機関が、実施中または長期にわたる3959件の規則の見直しを進めていることを明らかにした。

 規制緩和によって企業が解放され、投資や雇用に自信が持てるようになったと自負していたトランプ政権の後であり、バイデン政権の規制強化に企業に衝撃を受けている。トランプ氏は、新たなルールを課すたびに二つの規制を撤廃することを義務付ける「1イン2アウト」を命じていた。競争的企業研究所(CEI)の調査によると、トランプ氏は最終的に新しい規則一つにつき3.2件の規制を撤廃した。

 企業は今、煩雑な手続きに追われることになるのではないかと懸念している。

 オバマ政権の末期には、企業の20%が規制が唯一最大の問題だと答えていた。それが、トランプ政権下の2020年8月には11%に低下。全米独立企業連盟のデータによると、2020年の選挙後には14%に上昇し、バイデン氏の大統領就任後の最初の数カ月では15%に上昇した。

 経済学者らは、規制が企業に与える影響について長い間議論してきた。

 米商業会議所の試算によると、連邦政府の煩雑な手続きによって、直接経費、生産性の低下、賃金の上昇など年間1兆9000億ドルもの経済的損失が生じる。また、大企業よりも従業員50人未満の小規模な企業の方が、その影響は20%大きいという。

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