中国が衛星破壊兵器打ち上げか 宇宙ゴミ除去と主張

(2021年10月28日)

キャリアロケット「長征2F」に搭載された有人宇宙船「神舟13号」は、2021年10月16日、中国北西部のゴビ砂漠にある「九泉衛星発射センター」から打ち上げられた。(Chinatopix Via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, October 25, 2021

ロボットアームで捕獲も可能

 中国は、宇宙を新たな主戦場として、衛星破壊兵器(ASAT)など宇宙兵器の開発を進めている。「宇宙デブリ(ごみ)」除去のためとして新たな人工衛星を打ち上げたが、専門家らは、敵対国の衛星を捕獲、破壊する能力を持っているとみて、警戒を呼び掛けている。

 国営企業、中国航天科技集団は、24日に打ち上げられた「実践21号」の任務は「宇宙デブリを削減し、無害化するための技術の実証実験」としている。

 米統合宇宙軍のディキンソン司令官は4月、議会での証言で、実践21号のような衛星は、「宇宙攻撃兵器による宇宙優勢」を追求する中国の取り組みの一環だと指摘。「注目すべき衛星は、ロボットアームを搭載した実践17号だ。宇宙でのロボットアーム技術は将来、他の衛星を捕獲することにも利用できる」との見方を示していた。

 実践17号は、通信とデブリの監視に使用されるが、周回軌道上の衛星に接近し、捕獲、破壊することが可能とみられている。

 「実践」衛星が最初に確認されたのは2013年、3基の発射が確認された時だ。米情報機関は、これら衛星の通常とは違う動きを探知している。米当局者によると、そのうちの一つ、実践15号は特に特異で、ロボットアームの先端にはさみ状のものを装着している。

 中国はその他に宇宙兵器として、地上発射のASAT、電子妨害装置、レーザー兵器を保有している。

 ディキンソン氏は、「中国はずっと、宇宙への兵器配備に反対すると主張してきた」が、平和利用を装いながら宇宙兵器の増強を進めていると指摘した。

 スペース・ロー・ポリシー・ソリューション社の宇宙安全保障専門家、マイケル・リスナー氏は、宇宙技術は軍事転用可能であり、中国の宇宙兵器の能力を把握することは困難と指摘する。

 「実践21号は軌道上のデブリ除去に使用できるが、衛星破壊兵器とすることも可能」とリスナー氏は述べている。

 インド軍の画像情報分析官だったビナヤク・バット氏は、実践21号打ち上げの目的には疑問が残ると指摘した。中国はこれまで、デブリの除去に興味を示さず、大型ロケットを打ち上げ、デブリを増加させてきたからだ。

 バット氏は、「このロボットアーム技術は基本的に軍事転用可能であり、敵国衛星を捕獲、無力化、破壊するための宇宙兵器として使われるのは間違いない。中国による軍民両用衛星の配備は、(中国共産党が)宇宙の軍事化を目指していることを示している」と警戒を呼び掛ける。

 米国防情報局(DIA)によると、中国軍は宇宙戦を、米軍による地域紛争への介入を阻止する手段と結論付けている。

 DIAは報告で「(中国軍は)米国と同盟国の『衛星やセンサーを破壊、捕獲』すれば、精密誘導兵器の使用は困難になると分析している。さらに、中国軍は、偵察・通信・航行・早期警戒衛星も、『敵の目と耳をふさぐ』ための攻撃の標的になることを明確にしている」と指摘している。

 中国は07年にASATミサイルを試射し、無数のデブリを宇宙空間に飛散させ、国際的な非難を浴びた。その後、同様のASATミサイル試射を実施していないものの、迎撃ミサイル、民間の研究を装うことで、宇宙戦能力を隠蔽(いんぺい)している。

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