ロシア疑惑・アフガン撤退めぐりサリバン補佐官に辞任圧力
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Wednesday, November 17, 2021
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、米国のアフガニスタン撤退での失敗ですでに非難を浴びているが、ロシアと、2016年の大統領選でのトランプ陣営との共謀の主張との関連性が疑われ、辞任を求める声が高まっている。
ジョン・ダーラム特別検察官は先週、民主党の弁護士マイケル・サスマン氏を、トランプ氏とロシアについて連邦捜査局(FBI)にうそをついたとして起訴したが、複数のメディアが報じたところによると、サリバン氏は、起訴状に記載されている「外交政策顧問」とみられている。サリバン氏は、大統領選に2度、立候補したヒラリー・クリントン元国務長官の長年の腹心でもある。
FOXニュースは、「有力な情報源」を引用して、サリバン氏が問題の顧問だと最初に報じた。それによると、サリバン氏は、2016年の選挙戦中にロシアとの共謀説を広めようとしたクリントン陣営の取り組みに関与していたようだ。
トランプ氏はこれらの容疑を激しく糾弾しており、ダーラム氏の捜査は、そもそも共謀説の拡散を助けた主要な情報源の一部が信用できないものだったことを示唆している。
この疑惑が正しければ、2016年の活動はホワイトハウスと直接関係があることになる。サリバン氏は、バイデン大統領の安全保障担当最高顧問であり、メディアで政権の方針を頻繁に伝えるスポークスマンでもある。また、2017年にサリバン氏が議会で主張した、トランプ氏に関する最もセンセーショナルな告発の一つである、トランプ・オーガニゼーションのビジネス帝国とロシアのアルファ銀行との共謀に関わる情報源を知らなかったという主張とも矛盾するようにみえる。
ホワイトハウスは、この問題へのサリバン氏の関与についての疑念を払拭しようとしている。民主党関係者らは、ダーラム氏の捜査がサリバン氏を標的にしたものである証拠はないと指摘している。さらに、共和党がこの問題を、政権の国家安全保障チームの信用を損ねるために、党派的に利用していると主張している。
しかし、サリバン氏の信頼性に関する疑問は、先週のサスマン氏の起訴のずっと前から持ち上がっていた。
過去60年間で最年少の国家安全保障担当補佐官であるサリバン氏は、今夏のアフガニスタンからの米軍撤退にも深く関わっていた。急な撤退がタリバンによるアフガニスタン支配につながり、米国民やアフガニスタンの同盟国が国内に取り残された。バイデン氏は、何度もそうならないようにすると訴えていた。
共和党の指導者らは、サリバン氏がアフガニスタンの状況を読み違えたことや、最終的な撤退の処理を誤ったことを理由に、国家安全保障補佐官としてふさわしくないとしている。
ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)は、ワシントン・タイムズ紙に対し、「ジェイク・サリバンは、アフガニスタンからの悲惨な撤退をもたらした省庁間のプロセスを主導した」と述べ、サリバン氏の退任か解雇を求めてきたと繰り返し訴えた。
ホーリー氏は「今、わが国はこれまで以上に、有能で、信頼できるリーダーを必要としている。サリバン氏はそのどちらでもないことを示しており、今こそ辞任すべきだ」と述べた。
他の共和党員らは、2012年にリビアのベンガジで起きた米外交施設の襲撃事件にも、サリバン氏がかかわっていたことを問題視している。サリバン氏は、当時国務長官を務めていたクリントン夫人の最側近として、米大使ら3人の死亡につながったテロ事件を担当していた。
下院監視改革委員会の共和党筆頭委員、ジェームズ・コマー氏(ケンタッキー州)は最近FOXニュースで、「ジェイク・サリバン氏は、ベンガジ事件から悲惨なアフガニスタン撤退まで、過去10年間の最悪の外交危機と決定の震源地にいた。この政権が自ら危機を作り出す傾向があることを考えれば、ジェイク・サリバン氏がバイデン・ホワイトハウスのトップポストを与えられたことは驚くべきことではない」と語った。
「全員に責任を取らせる」
ホワイトハウス当局者は、サリバン氏がトランプ氏とロシアの共謀疑惑に関与していた疑いについて、公にはほとんど発言していない。しかし、政権トップは、アフガニスタン撤退時のサリバン氏や他の主要補佐官らの決断が、大統領のチームへの信頼を揺るがすものではないことを何度も明らかにしている。
8月17日、アフガニスタンのカブール空港からの米国主導の空輸が必死に行われている最中、ジェン・サキ大統領報道官は、「混沌」が生じたことを認めた。
サキ氏はさらに「しかし、大統領は国家安全保障チームと彼らの任務遂行能力を信頼しており、任務を達成することはできる」と語っていた。
米国が支援するカブール政府がタリバンの反乱に直面し、崩壊しつつある中、サリバン氏はこの日、記者団の前に現れ、アフガニスタンに対する政権の対応について厳しい質問を受けた。彼は、長期的には撤退した方が米国にとって有利であるというバイデン氏の計画を擁護した。
「国内、外交、どのような政策課題に取り組んでも、人的コストと影響は大きくなる。しかし、バイデン大統領は、アフガニスタンの内戦の真っただ中に留まるという別の道を選んだ場合の人的コストについても考えなければならなかった」
サリバン氏は、アントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防長官をはじめとする多くの政府関係者とともに、アフガニスタン撤退とそれによる米国の海外での信頼の低下について、誰かが公的に責任を負うべきだと訴える共和党の標的となっている。議会は17日にも、アナリストや元司令官を対象に、アフガニスタンで何が悪かったのかについての公聴会を開いた。
サリバン氏の解任を明確に要求していない人々も、国家安全保障担当補佐官が重要な役割を果たしたホワイトハウスのアフガニスタンに関する意思決定プロセスを、徹底的に調査する必要があると述べている。
下院外交委員会のマイケル・マコール委員(共和、テキサス州)は、「悲惨なアフガニスタン撤退の責任を誰かに負わせるためには、議会が徹底的かつ包括的な調査を行う必要がある」と述べた。
「米国民、特にこの件で悪影響を受けた退役軍人、現役軍人、外交官の一人ひとりに対して、このようなことが二度と起こらないようにし、責任者全員に責任を取らせる義務がある」
一方、サスマン氏の起訴は、サリバン氏が、トランプ氏とロシアの共謀疑惑の推進にクリントン陣営が深く関わっていたことを、何らかの形で知っていた可能性を示唆しているようだ。起訴状によると、クリントン陣営の弁護士が、同陣営のマネジャー、広報責任者、「外交政策顧問」と、アルファ銀行の告発記事を身元が確認されていない記者と共有することについてメールを交換したという。また、起訴状によると、サスマン氏はFBIの顧問弁護士ジェームズ・ベーカー氏に、会議中はクライアントの代理人ではなく、クリントン陣営を代表して出席していたと述べている。
2016年10月、クリントン夫人は、トランプ・オーガニゼーションとアルファ銀行をつなぐ秘密のコンピューターサーバーについてのサリバン氏の声明をツイートしたが、この主張は後に否定された。
サリバン氏はその声明の中で、「これは、ドナルド・トランプ氏とロシア政府との間の、これまでで最も直接的なつながりである可能性がある。コンピューター科学者らは、トランプ氏の組織とロシアに拠点を置く銀行をつなぐ秘密のサーバーを明らかにした。この秘密のホットラインが、トランプ氏とロシアとの関係の謎を解く鍵となるかもしれない。…この通信回線は、トランプ氏がプーチン氏を異様に崇拝していることを説明するのに役立つかもしれない」と書いている。