中国が改正反スパイ法施行、外国企業への監視強化
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, July 5, 2023
ヘインズ米国家情報長官(DNI)直属の防諜部門、国家防諜安全保障センター(NCSC)は、7月1日に施行された中国の改正反スパイ法について、情報当局の権限を強化するとともに、恣意的な運用によって、「外国企業、ジャーナリスト、学者、研究者に法的リスクをもたらす可能性がある」と警告した。
改正反スパイ法によって、国家安全保障に関連すると見なされる文書、データ、その他の資料を押収または捜査対象とすることが可能になる。また、スパイ活動の定義は、国家機密に関する活動やスパイ活動から、中国当局が「国家安全保障」に関連すると見なすあらゆる文書、データ、資料、物品に拡大される。
NCSCは「中国は国内での情報が十分に管理されないこと、国内の情報が流出することを国家安全保障上のリスクと見なしている。これらの法律によって、米企業が中国で保有するデータにアクセスし、管理する中国政府の法的根拠が拡大される」と警鐘を鳴らす。
同法はまた、中国国民に対し、スパイ活動の疑いがあれば政府に通報するよう義務付けており、外国人は通報を基に情報当局から尋問を受け、電子機器を押収され、施設や書類を検査される可能性がある。
NCSCによれば、改正反スパイ法は、国家安全保障、サイバーセキュリティー、データプライバシーに関連する2015年以降の一連の規制の一部であり、中国企業、中国に進出している米企業を含む外国企業を対象としている。
2021年のサイバーセキュリティー対策では、中国にある米企業に対し、システムやソフトウエアの脆弱性を報告するよう求めている。この措置により、中国当局は「システムの脆弱性が一般に知られる前に、システムの欠陥を悪用する」ことが可能になる。
同じく21年個人情報保護法は、中国当局に米企業で働く従業員の個人情報を収集する権限を与えている。
また、21年のデータ・セキュリティー法によって、中国政府による米企業のデータへのアクセスが増加し、国外へのデータの流れに対する中国の管理が強化された。
中国当局は今年に入って、米国やその他の外国企業への取り締まりを開始している。
米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの職員を尋問、ニューヨークを拠点とする米企業調査会社ミンツ・グループの北京事務所を家宅捜索した。中国政府の発表によると、ミンツの中国人従業員5人が違法な事業活動の疑いで逮捕された。
台湾政府は最近、台湾人が改正反スパイ法に基づき恣意的に拘束されたと発表し、このような「敵対行為」に何らかの措置を取ることを明らかにしている。
台湾政府の大陸委員会の報道官は、議員や学者を含む台湾人が中国当局によって理由もなく尋問され、拘束される「ケースが多くある」と述べた。