21州の司法長官が中国AIディープシークの禁止を議会に要請

(2025年3月11日)

2025年2月17日月曜日、韓国・ソウルのソウル駅にて、ニュース番組で中国の人工知能スタートアップDeepSeekを報道するテレビを見る人々。(AP Photo/Ahn Young-joon)

By Bill Gertz – The Washington Times – Friday, March 7, 2025

 21州の司法長官が、スパイ行為への懸念から、中国の人工知能(AI)アプリケーション「ディープシーク」を禁止するよう議会に求めている。

 司法長官らは、共和党と民主党の議会指導者4人に宛てた書簡で、バイデン政権時代、中国のハッカーは米国人から機密データを盗むために自由に活動することを許されていたと述べた。

 3月6日付の書簡では、政府内でAIチャットボットを使用することを禁止する「政府機器へのディープシーク使用禁止法」を可決するよう議会に求めている。

 書簡は「ディープシークは、中国共産党がわが国をスパイするために送り込んだトロイの木馬だ。国家安全保障上の重大なリスクであり、政府のデバイスでの使用を許可すべきではない」としている。

 このアプリは、ユーザーの検索履歴、IPアドレス(インターネット上の住所)、キー操作のパターンを追跡し、その情報を中国政府に送信することができるという。

 ディープシークは、1月に登場した新しい中国のAIチャットボットで、高コストの米国のAIモデルに匹敵する低コストの技術を使用していると報告されている。

 書簡には、中国が財務省のコンピューターをハッキングしたり、米国内の中国企業や土地の購入を監視する対米外国投資委員会(CFIUS)から情報を盗んだりするなど、深刻なサイバー脅威に関与していると記されている。

 その他の中国によるハッキングには、政府や政治団体で働く米国人からの大規模な情報窃取が含まれる。

 書簡は「中国のスパイ気球が米国内を浮遊しながら、米国の最も気密性の高い重要な軍事拠点から情報を収集したことは記憶に新しい」「ディープシークは、中国のスパイが米国の国家安全保障を攻撃するための新たなツールであるようだ」と指摘している。

 サイバーセキュリティーの専門家によると、ディープシークはユーザーデータを中国政府に直接自動送信できる隠しコードを使用しているという。

 カナダ、オーストラリア、韓国、台湾の政府はすでに、スパイ行為への懸念から、政府用デバイスでのディープシークへのアクセスをブロックしている。

 民間企業もまた、このアプリの使用を禁止する措置をとっている。

 国家安全保障問題を専門とするグループ「ステート・アーマー」の創設者、マイケル・ルッチ氏は、ディープシークは米国の繁栄、社会、国家安全保障に対する重大な脅威だと述べた。

 「TikTokも十分ひどかったが、盗まれた米国の技術で作られたディープシークは、米国に対する非対称戦争という(中国の)キャンペーンをさらに一歩進めるものだ」

 「日常生活でディープシークを使うことで、米国人は中国共産党がAIを訓練するのを助けている。こうして訓練を受けたAIは、米国のインフラ、大企業、さらには軍への攻撃にまで利用される」

 ワシントン・タイムズ紙が1月に公開したシリコンバレーのAIセキュリティー企業によるオンライン分析によると、ディープシークは中国共産党の国内AI企業に対する規制を厳守し、ユーザーの微妙な質問に対してプロパガンダ的な回答を与えている。

 司法長官らの書簡によると、この脅威は、議会がディープシークを政府用デバイスで使用することを禁止する法案を速やかに可決することで対処されるべきだという。

 法案は2月6日、ダリン・ラフード下院議員(共和党、イリノイ州)とジョシュ・ゴットハイマー下院議員(共和党、ニュージャージー州)が共和党11人、民主党13人の共同提案者とともに2月6日に提出した。

 書簡にはモンタナに加え、アラバマ、アラスカ、アーカンソー、フロリダ、ジョージア、アイオワ、ケンタッキー、ルイジアナ、ミズーリ、ネブラスカ、ニューハンプシャー、ノースダコタ、オハイオ、オクラホマ、サウスカロライナ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ユタ、バージニア各州の司法長官が署名した。

 これに関連する動きとして、トランプ政権当局者によると、ホワイトハウスは法案に先立ち、政府用デバイスでのこのアプリの使用を禁止することで、ディープシークを制限する規制を検討しているという。

 この規則案はウォール・ストリート・ジャーナル紙が最初に報じた。

 ホワイトハウスは、ディープシークが米国人の個人情報を盗み出す可能性に懸念を抱いている。

 トランプ政権は、政府用デバイスによるディープシークのダウンロードを禁止する規制に加え、米国のアプリストアによるダウンロードの禁止、クラウドベースのストレージサービスでのディープシークの使用制限も検討している。

 トランプ大統領は今年初め、中国のスパイ行為や影響工作への懸念から、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を禁止する法律の施行を一時的に阻止する措置をとった。

 この措置は、バイデン政権時代に連邦政府がその危険性を強調したにもかかわらず、トランプ氏は中国のデジタル情報収集を大きな脅威とは見なしていないのではないかという懸念を引き起こした。

 中国の王毅外相は記者団に対し、ディープシークのような技術を制限しようとする米国の取り組みは失敗するだろうと述べた。

 王氏は、ディープシークを核兵器、ミサイル、人工衛星、5G通信技術、量子コンピューティングに匹敵する飛躍的進歩だと述べた。

 「しかし、封鎖があれば突破口があり、抑圧があれば革新があり、激しい嵐があれば、中国神話の英雄『ナタ』が天空に舞い上がるように、中国の科学技術を空高く打ち上げるプラットフォームがある」と王氏は語った。

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