「農業テロ」を計画か 菌類密輸で中国人2人を起訴

2025年6月3日火曜日、連邦当局はミシガン大学の研究室に勤務していた中国人科学者とそのガールフレンドを告発した。(ミシガン州東部地区連邦地方裁判所 via AP)
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, June 3, 2025
2人の中国人が共謀して、農業へのテロ兵器として使用可能な菌類を米国に密輸しようとした容疑で起訴された。デトロイトの連邦検察官が声明で発表した。
中国出身の簡雲青(女、33)、劉尊勇(男、34)両被告は、虚偽の陳述とビザ(査証)を巡る詐欺の容疑でも起訴された。
声明によると、簡被告は、「農業テロリズム兵器として使用可能」とされる「フザリウム・グラミネアラム」という菌類を密輸しようとしたとして、連邦捜査局(FBI)に逮捕された。
両被告は中国政府から報酬を受け取り、大学で植物病原体を研究していたと、裁判書類に明記されている。
劉被告は7月に菌類を所持していたところを摘発され、サンプルと電子機器が押収された。その後、入国を拒否され、中国への送還手続きが開始されたと、裁判書類に記されている。
ミシガン大学研究所で働いていたが、2024年4月に出国している。
その後、FBIがサンプルを検査し、フザリウム・グラミネアラムが含まれていることを発見した。
ミシガン州東部地区の連邦検察官ジェローム・ゴルゴン・ジュニア氏は起訴を発表するとともに、「これらの中国人は、1人は中国共産党の忠実なメンバーであり、その行動は最も重大な国家安全保障上の懸念事項に当たる」と述べた。
「これらの2人の外国人は、米国の中核地域に『潜在的な農業テロリズム兵器』とされる菌を密輸した容疑で起訴された。ミシガン大学の実験室を利用してその計画を実行する意図があったとみられる」
簡被告の勾留尋問は、4日に連邦裁判所で実施される予定だ。
簡被告の弁護士にコメントを求めたが連絡は取れなかった。
FBIの訴状によると、被告の一人は極秘の生物兵器研究に従事していたとされている。
劉被告のアイフォーンから発見された文書には「2018年気候変動下における植物病原体戦争」というタイトルの記事が含まれていた。
「オープンソースの研究によると、この記事は、作物を破壊する病気と病原体の例としてフザリウム・グラミネアラムを挙げている」と訴状は指摘している。
訴状によると、簡被告は博士課程修了後、「作物に破壊的な疾病を引き起こす特定の生物病原体に関する」研究を行っていた。
簡被告の携帯電話の検索で、「中国共産党への所属と忠誠を示す書類」が発見されたと、起訴状には記されている。
訴状によると劉被告は簡被告と交際していたとされ、同じ生物病原体に関する研究に従事していた。
7月、劉被告はデトロイト・メトロポリタン空港経由で生物病原体を米国に密輸しようとし、米国訪問の目的について質問した税関・国境警備局の職員に虚偽の供述をしたと訴状は指摘している。
劉被告の供述によると、簡被告が勤務するミシガン大学研究所での研究のために病原体を密輸しようとしたという。
簡被告は調査官に対し、病原体の密輸について知らなかったと述べたが、2人の間の通信の分析結果から、生物学的物質を米国に持ち込むことについて議論していたことが判明している。
「電子的証拠はまた、簡被告が過去に生物学的物質の包みを米国に密輸する行為に関与していたことを示している」と訴状は指摘している。
司法省が声明で引用した、雑誌「フード・セキュリティー」の記事によると、フザリウム・グラミネアラムは、食用作物を標的とする農業テロの武器として使用される可能性のある物質に分類されている。
「この有害な真菌は、小麦、大麦、トウモロコシ、米に『穂枯れ』という病気を引き起こし、世界中で毎年数十億ドルの損失をもたらしている。フザリウム・グラミネアラムの毒素は、人間や家畜に嘔吐、肝臓障害、生殖障害を引き起こす」
訴状によると、簡被告は2021年にJ1ビザを申請し、2022年8月から2023年8月まで、テキサスのある大学(大学名は非公表)の研究所で働き始めた。
その後、アナーバーのミシガン大学の分子植物微生物相互作用(MPMI)研究所に就職し、現在もこの研究所に勤務している。
劉被告は昨年7月に上海から観光ビザで米国に入国し、当局に対し、帰国前に簡被告を訪ねる予定だったと述べた。
荷物からは、赤い植物の塊が入った透明なプラスチックの袋4つが発見されており、劉被告は「誰かがその物質を仕込んだ」と主張している。
その後、その物質が有害な真菌であることを明らかにした。
FBIデトロイト支局のチェイボリア・ギブソン特別捜査官は「本日発表されたように、簡雲青、劉尊勇両被告(いずれも中華人民共和国在住)が連邦政府によって起訴されたことは、私たちのコミュニティーと国家の安全を維持するための取り組みにおいて、重要な進展を意味する」と述べた。
「2人は、現地の大学の研究室施設を利用できることを悪用し、生物兵器の密輸行為に及んだ。この行為は、公共の安全に直ちに脅威をもたらすものだ」
税関・国境警備局のマーティ・レイボン局長は次のように述べた。「簡雲青、劉尊勇両被告がきょう、刑事訴追された。これは、税関・国境警備局が国民を生物学的脅威から保護する上で重要な役割を果たしていることを明確に示している。これらの脅威は、私たちの農業経済を破壊し、人間に危害を及ぼす可能性がある」
破壊的技術の専門家クラリス・ディアス、エミリアン・カバルスキー両氏は昨年11月、オンライン誌「ウォー・オン・ザ・ロックス」で次のように指摘していた。「米国の農場で使用されている中国製農業用ドローンは、中国が『作物を標的とした生物兵器攻撃を仕掛け、敵対国の食料供給を破壊する』ために悪用される可能性がある」
「これは国家安全保障に重大な脅威を及ぼす。食料の供給に壊滅的な影響を与え、貿易と経済の回復力を脅かし、農業システムを弱体化させるものであり、米国の重要インフラを脅かす複数の手段を中国に提供している」
これらの中国製ドローンは農家が作物の収量を増加させるためのデータ収集に利用されており、研究者によって中国軍につながれている。
中国製ドローンを農家が使用することは、作物に対する生物兵器戦争の脅威をはらんでいる。
中国軍は1999年に「超限戦」という書籍を出版し、強力に武装した敵対勢力に対して勝利するため、あらゆる形態の戦争を駆使することを呼び掛けている。