離婚で子供の貧困、10代での妊娠、服役は増える-調査

2007年2月14日、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングで結婚式を挙げるカップルに指輪を差し出す結婚関係者。指輪は結婚のシンボル。(APフォト/ベベト・マシューズ、ファイル)
By Sean Salai – The Washington Times – Friday, June 6, 2025
最新の調査によると、親が離婚した子供は、両親がそろった家庭の子供に比べて、貧困に陥りやすく、思春期に妊娠しやすく、一方の親とほとんど会えず、服役しやすく、大学に進学せず、早期に死亡する傾向が強いことが示された。
民間研究機関「全米経済研究所」は50年以上にわたって100万人以上の親が離婚した子供を追跡調査し、先月、その結果を発表した。この種の調査としては最大規模のもので、国勢調査局、メリーランド大学、テキサス大学の3人の研究者が、500万人以上の子供の税務記録と国勢調査記録をリンクさせて分析し、比較を行った。
調査を行ったアンドルー・ジョンストン、マギー・ジョーンズ、ノーラン・ポープ各氏は調査結果の概要で、「離婚後、両親は別居し、世帯収入は減少し、両親が働く時間は長くなり、転居が増え、経済的な機会が少ない貧しい地域に移住する。こうした家族の状況の変化は、離婚が子供の発達や将来にさまざまな影響を及ぼす可能性を示唆している」と指摘している。
両親が離婚した米国の子供の3分の1について、非営利団体「マサチューセッツ経済研究センター」は、10代の妊娠のリスクが60%高くなり、成人になる前に死亡する確率が「急激かつ持続的に」高まることを発見した。また、これらの子供は、両親が離婚しなかった子供に比べ、服役するリスクが40%高くなり、大学に進学する確率が半分になった。
また、幼少期に親が離婚した子供の20代後半までの収入は同年代よりも13%少なく、これは1年間の教育を欠くか、低所得地域で育ったのと同程度の影響に相当すると指摘した。
研究では、離婚した親は平均的に互いに100マイル(約160㌔)離れて住んでいるため、子供は一方の親との連絡を絶つことになる。同時に、子供を育てる一人親は労働時間が長くなり、親子の接触が減少していた。
これらの結果は、離婚が配偶者と子供に有害な影響を及ぼすことを物語っている。
バージニア大学社会学者のブラッド・ウィルコックス氏が昨年出版した「Get Married」という本は、他の研究を引用し、親が離婚した子供は「学校から停学や退学処分を受ける可能性がほぼ2倍」あり、薬物使用の確率が75%高く、「大学を卒業する可能性が約半分」と指摘している。
ウィルコックス氏は6日、全米経済研究所の調査結果が、離婚し、子供がいない独身者の方が幸せだという考えは欺瞞だという自説を裏付けていると述べた。
「この新たな研究から重要なことが分かる。子供がなぜ離婚で苦悩するようになるのか。その理由の一つが、親が家庭を捨て、父親が子供と定期的に接触できなくなることにあることを示している」
研究から、離婚した場合、ほとんどの家庭で子供は母親と生活し、父親と離れ離れになるため、女性に大きな負担となることが分かっている。
先月「JAMA Internal Medicine」に発表された18万9417人の母親を対象とした分析によると、独身で低所得の母親が増加したことで、精神状態が「良好」とした母親の割合が2016年の38.4%から2023年の25.8%へと低下した。
公衆衛生に関する調査で、精神状態を「良好」と答えた母親の割合は、同じ期間に18.8%から26.1%に増加した。また、「普通/悪い」と答えた母親の割合は5.5%から8.5%に増加した。
全米経済研究所の研究から、家族の資源、近隣環境の質、親との距離の変化が、離婚が子供たちに与える影響の25%から60%を占めていることが明らかになった。
ジョンズ・ホプキンス・チルドレンズ・センターの子供・青年精神科部長のジョン・カンポ氏は、この研究は、離婚は「子供たちにとってより良いこと」と正当化する親たちに一考を促すものだと述べた。
同氏は、「子供たちが離婚後も問題ない」ことを示す研究をこれまで見たことはないと強調した。
「一部のケースでは当てはまるかもしれないが、ほとんどの場合はそうではない。私たちが人間関係について下す決定は、子供たちにも影響を与える。相関関係は因果関係ではないが、離婚には慎重に臨み、その過程で子供たちをどのようにサポートするかを考えるべきだ」
精神衛生の専門家によると、新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)時の経済的圧力は、離婚した母親たちにとってさらに困難な状況を生み出した。
精神衛生非営利団体「Visions Inc.」のソーシャルワーカー兼執行ディレクター、エリカ・ダドセタンフォリー氏は「パンデミックは、失業、保育サービスの喪失、住環境の不安定化、社会的ネットワークの崩壊など、すでにあったストレス要因をさらに悪化させた」と述べた。
カリフォルニア州サクラメントの臨床ソーシャルワーカー兼周産期心理療法士マリリン・クロス・コールマン氏は、近年、子育ての費用の増加率がインフレ率を上回っていると指摘した。
「社会は母親たちに、はるかに少ない支援でより多くのことを求めるようになっていると感じている。母親のための財政支援は減少しており、投入される時間は減り、コミュニティー資源は不足し、母親の健康や精神衛生のための支援も大幅に制限されている」
複数の研究で、パンデミック以降、不安、うつ病、薬物乱用が急増していることが示されており、離婚した家庭や低所得家庭の苦境をさらに深刻にしている。
ハーバード大学医学部精神科の助教アシュウィニ・ナドカルニ博士は「これは、社会的孤立や孤独の増加、経済的ストレス、精神衛生ケアの格差が原因と考えられている」と述べた。