ハーバード学長、思想的偏向認める 自由な伝統への回帰目指す

(2026年1月13日)

ハーバード大学のアラン・ガーバー学長が、2025年5月29日(木)、マサチューセッツ州ケンブリッジで行われた同大学の卒業式典で、長く続く拍手に応える様子。(AP通信/チャールズ・クルパ撮影)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, January 5, 2026

 ハーバード大学のアラン・ガーバー学長がチャーリー・カーク氏と混同されることはないだろうが、このアイビーリーグのリーダーも、思想的に偏った教授たちが学内での表現の自由を制限しているという問題に直面していることが明らかになった。

 ガーバー氏は、教員らが講義で政治的主張を学生らに押し付けることを許したことで大学は「誤った方向へ進んだ」と指摘、自由な伝統に回帰し、プロとして客観的な教育に徹するよう求める姿勢を示した。

 ガーバー氏は、かつてスタンフォード大学で健康政策センターを運営していた際、教職員が私的な時間に政治的立場を表明することは認められていたが、「授業においては完全に客観的でなければならなかった」と語った。

 ガーバー氏はシャローム・ハルトマン研究所のポッドキャスト番組「アイデンティティー/クライシス」のインタビューで、「変わってしまっていた。そこにわれわれの過ちがあったと考えている」と述べた。インタビューは、ボストンのビルナ・シュール文化センターで収録された。

 ガーバー氏は「考えてみてほしい。もし授業で教授が『この問題について私はこう考えている』と言ったとして、どれほどの学生が――皆さんの何人かは対処できるかもしれないが、大半の人はそうではないだろう――議論を呼ぶ問題について確固たる意見を表明した教授に、真っ向から対峙(たいじ)しようとするだろうか」と問いかけた。

 続いて同氏は「授業にバランスを取り戻し、教室では客観的であるべきだという考えを復活させる実質的な動きがあることを喜ばしく思っている」と語った。

 大学を維持、管理するハーバード・コーポレーションは昨年12月15日にガーバー氏の契約を2026~27年度以降「無期限」に延長した。インタビューが行われたのはその翌日の16日だが、内容が公開されたのは30日だった。

 学生新聞ハーバード・クリムゾンは、ガーバー氏の発言について「教員の慣行が学内での開かれた対話の崩壊を招いたという事実を公的に、明確に認めた発言であり、授業に中立性を取り戻すことへの確約だ」と評した。

 このような約束は活動家の教授たちには不評かもしれないが、ガーバー氏が、ハーバードの悪名高い不寛容な学内文化に関して、対処法について意見の相違はあるにせよ、トランプ政権と同じ懸念を一部共有していることを示している。

 ハーバードは昨年、政府が20億ドル(約3010億円)を超える連邦資金を停止したことを受けて提訴した。政府は同大学に対し、資金を取り戻すには、反ユダヤ主義対策のための指針を設けることに加え、多様な価値観の職員を採用することやDEI(多様性、公平性、包括性)プログラムの終了などを求めていた。

 大学側は9月に連邦地裁で勝訴したが、司法省は先月、控訴した。

 ガーバー氏が2024年1月に学長代行として就任して以来、大学は抗議活動に対する方針を厳格化し、国際ホロコースト記憶同盟(IHRA)の反ユダヤ主義の定義を取り入れた。さらに中東研究センターの学部ディレクター2人を解任し、「公平性・多様性・包括性・帰属局」を「コミュニティー・学内生活局」に改称した。

「激動の時代の正しい選択」

 クリムゾン紙は昨年12月16日の社説で「大学が連邦政府の干渉に対して公に反対の立場を取っているとはいえ、こうした変化の多くはトランプ氏の要求に屈しているように見える」と指摘した。

 これは褒め言葉ではない。

 それにもかかわらず、社説はガーバー氏を「見事に合格した」と称賛し、「激動の時代の正しい選択」と呼んだ。

 ガーバー氏が中道へ歩み寄る措置を講じたものの、一人の著名な保守派教授を引き止めるには不十分だった。

 40年にわたって同大学で教鞭を執ってきた終身教授(歴史学)のジェームズ・ハンキンズ氏は12月29日に辞任を発表した。4年間の契約が先月、切れたばかりで、もはやハーバードで教え続けたくないと思わせる一連の出来事があったことを理由に挙げた。

 同氏はハーバードの「厳格な新型コロナウイルス規制」や、2020年の「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切)」運動の抗議デモ、暴動への対応を指摘した。

 また、2020年に歴史学大学院プログラムへの優秀な志願者が「最適だった」にもかかわらず、白人であることを理由に不合格にされたと非難した。

 翌年、学部で最高の成績を収めた4年生(彼も白人男性だった)が、出願したすべての大学院で拒絶された。ハンキンズ氏は理由を突き止めるため、他大学の友人に電話をかけた。

 同氏は昨年12月29日のコンパクト誌への寄稿で「どこも同じ話だった。全国の大学院入試委員会がハーバードと同じ暗黙のプロトコルに従っていたのだ。白人男性がほとんど排除される中で、私が見つけた唯一の例外は、女性として生まれ、後に男性になった人物だった」と指摘した。

 また、ハーバードには取り組むべき課題があることを示唆した。大学はこの10年間に西洋史分野で8人の歴史学者を失ったにもかかわらず、この分野の終身教授を1人も採用していないという。

 ハンキンズ氏は「私で9人目となるが、後任の補充は期待していない」と述べた。

 ハーバードが「現在のアラン・ガーバー学長の下で、より良い方向へ向かっている」ことには同意したが、それでも移転の決心は変わらなかった。

 同氏はフロリダ大学のハミルトン・クラシカル・シビック教育学院で教える予定だ。

 ハンキンズ氏は「その理由は、ハミルトン学院が西洋文明史の教育に尽力しているからだ。後期リベラル教育学が西洋文明の講座を世界史に切り替えたことで、米国の若者の社会化に重大な問題が生じた。文明とは何かを若者に教えなければ、人々は野蛮になることが明らかになったのだ」と述べた。

 フロリダ大学は、ベン・サス元上院議員(共和党、ネブラスカ州)が学長を務め、2024年7月に退任した。

 サス氏は昨年12月23日のX(旧ツイッター)への投稿で、末期のすい臓がんと診断されたことを明かした。

 ガーバー氏は、シャローム・ハルトマン研究所のインタビューで、「私は長年、ほぼ制限のない言論の自由があると思ってきた」と語ったが、その後、表現の自由を認める方針があるだけでは不十分だと悟ったという。

 同氏は「変わったのは、学生たちが言論の自由を効果的に行使するためのスキルを身に付けられるようにする必要があるということだ。それは、不快感を与える可能性のある自分の考えを、人々が聞き入れられるような形でより上手に表現できることを意味する」と述べた。

 さらに「建設的な方法で聞き、答え、反応することだ。また、自分とは大きく異なり、不快に感じるかもしれない考えに耳を傾け、話し手が何を伝えようとしているのかを寛容に捉えるスキルを持つことも意味している」と語った。

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