携帯使用禁止を導入する学校が増加 成績向上に効果も

(2026年2月7日)

2024年2月23日金曜日、ユタ州デルタ市のデルタ高校で、9年生の男子生徒が教室に入る際、携帯電話をホルダーに収めている。(AP通信/リック・ボウマー撮影)

By Sean Salai – The Washington Times – Thursday, February 5, 2026

 K12(幼稚園から高校)で生徒の携帯電話の使用を登校から下校まで禁止する「ベル・トゥー・ベル」規制を導入する州が増えている。注意散漫の抑制や成績の改善につながることが分かっているという。

 スクリーン依存の急増やそれに伴って発生する問題を抑えるため、過去3年間にワシントンと38州が生徒の携帯利用を制限する法律を制定した。現在、生徒は19州とワシントンで、携帯電話を終日、所定のホルダーやロッカーに保管することが義務付けられている。

 ジョージア、カンザス、インディアナ、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン、マサチューセッツなどの州では、児童の安全に関する専門家の要請を受けて、強化法案の検討が進められている。

 学校の技術ポリシー策定を支援するサイバー・セーフティー・コンサルティングの教育ディレクター、アリソン・ボナッチ氏は「最も成功している政策の1つとして、携帯電話をホルダーに入れ、施錠して終日使用禁止とするベル・トゥー・ベル規制が挙げられる」と述べた。

 使用禁止拡大への支持は、この1年で共和、民主両党に広がった。

 ジョージア州ではK8(幼稚園から中学)対象のベル・トゥー・ベル規制を高校にも拡大する法案が審議中だ。共和党が提出した。

 ウィスコンシン州では共和党議員が、州のK12携帯電話規制を学校の全時間帯に広げることを求めている。ペンシルベニア州では同様の超党派法案が、民主党のシャピロ知事の支持を得た。

 マサチューセッツ州の民主党議員らは、さらに厳しい政策を推進している。今秋から全てのK12で、タブレット、スマートフォン、ブルートゥース機器を禁止する法案を推進している。

 ボストンを拠点に保護者向けに子供のデジタル活動を監視するアプリを提供するAura社の最高医療責任者で発達心理学者のスコット・コリンズ氏は「生徒の授業への関与が高まれば、注意散漫は減り、他者との交流は、オンライン中心から対面へと戻っていくというのが一般的な見方だ」と話す。

 カンザス州などでも、今秋からK12の授業時間中に携帯電話を禁止する法案が検討されている。判断は現在、地区ごとに委ねられている。

 ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は、授業時間中の使用禁止法案に署名するとみられている。法案は、保護者からの安全上の懸念はあったものの、州議会でほぼ全会一致で承認された。

 ミシガン大学ディアボーン校でこの問題を研究するマーガレット・マレー教授は、ベル・トゥー・ベル規制が成果を示しており、今後「絶対的基準」になると予想する。

 マレー氏は電子メールで「ベル・トゥー・ベル規制を導入した州は、テスト成績、出席率、行動面で改善が見られるだろう。導入しない州は、さらに後れを取る」と述べた。

 一方、終日禁止に反対する保護者は、運用の難しさ、個人の自由、子供と連絡を取る手段を失う点への懸念を表明している。

 ワシントンのファミリー・オンライン・セーフティー・インスティテュートの研究員、アランナ・パワーズオブライエン氏は「一部の地域では、携帯電話は家庭への命綱だ。きょうだいの世話を担う子や、仕事中の親と連絡を取る必要がある子もいる」と語った。ワシントンでは昨年秋、公立校での全端末の使用を禁止した。

 保守系団体「教育に参加する全米親の会(USPIE)」の会長で創設者のシェリ・フュー氏は、生徒の携帯電話は授業の政治的偏りに対する「授業内容や教え方の重要なチェック機能」も果たすと主張する。

 「録画できなければ、親は物議を醸すテーマがどう教えられているかを把握できなくなる」と同氏は述べた。

 ピュー・リサーチ・センターの2024年調査では、授業中のスマートフォン禁止に賛成した成人は67%だったが、ベル・トゥー・ベル規制に賛成したのは36%にとどまった。

 両指針の成績への影響を比較した研究はまだない。

 非営利研究ネットワーク「チルドレン・アンド・スクリーンズ」の研究・プログラム担当ディレクター、ケイト・ブロッカー氏は「どの指針が望ましいか断定するには、実施状況と影響に関するさらなるデータが必要だ」と指摘。「聞いている話では、生徒が保管用のホルダーを壊したり、予備の端末を使ったりして制限を回避した例がある」と述べた。

 教員側は、ベル・トゥー・ベル規制により、休み時間ごとにSNSを気にする生徒のFOMO(自分だけが取り残されているという不安、恐怖)が大幅に減ったと反論する。

 携帯電話を終日、保管する学校では、ネットいじめ、無目的なスクロール、教師を密かに撮影する行為が減少したという。

 州全体の規制がないメリーランド州では、ハワード郡公立学校区が昨年春、K12の全5万7000人の生徒を対象に、登校から下校までの「私物ハイテク機器使用禁止」方針を導入した。

 同区の中学数学教師アドリ・ウェストレイク氏は「当初は調整に課題があったが、学校文化、学業への集中、同級生との交流に対していい影響があることは間違いない」と語った。

「常識」

 フロリダ州は2023年、全K12校で授業中の携帯電話を禁止する全米初の州法を制定した。

 全米経済研究所(NBER)が昨年10月に公表したワーキングペーパーによると、施行後の1年間、生徒の懲戒事案と停学が12%増加した。

 ただ、2年目には数値は以前の水準に落ち着き、標準化テストの得点に「有意な正の効果」が見られたと指摘している。

 研究者の中には、ベル・トゥー・ベル規制を導入した州では、さらに顕著な改善が見られると主張する人もいる。

 人種的公平性を専門とするカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のタイロン・ハワード教授(教育学)は「生徒は携帯電話がなくても十分やっていけるということを学んでいる」と述べた。

 シラキュース大学の育児研究者で心理学者のマシュー・マルバニー氏は、昨年8月にニューヨーク州が導入したベル・トゥー・ベル規制を一部の生徒が回避している事実は、廃止の理由にならないと主張する。

 「学習面でも指導面でも、明らかに効果がある。社会科学の基準では断定に至っていないが、観察と常識からその影響は明白だ」

 全米最大の州カリフォルニアは、緊急時の例外を設けた上で、7月1日までに全学区に独自の携帯電話規制を採用するよう指示した。

 メキシコ国境近くでK6(幼稚園から小学校)の2万2000人超を擁するチュラビスタ小学校区は、緊急時を除き、生徒の携帯電話の使用を全面禁止する方針を選んだ。

 同区の教職員組合幹部ヘゼキア・エレーラ氏は「学習環境を完全に守るにはベル・トゥー・ベルしかない。作業から得た情報を長期記憶へと移すには、深く持続的な注意が必要だ」と述べた。

 一方、インディアナ州フォートウェインのパークビュー・ミロ研究イノベーションセンターの上級研究科学者ブランドン・マクダニエル氏は、慎重に進めるべきだと語る。

 インディアナ州は2024年から授業中の携帯電話を禁止しているが、州議会は現在、「アウェー・フォー・ザ・デイ(終日禁止)」規制を検討している。

 マクダニエル氏は「多くの介入と同様、単に禁止したり撤去したりするだけでは最良の効果は得られないことが多い。若者はいずれ、学習に集中しつつ同時にデジタルによる注意散漫を管理する能力を習得する必要がある」と指摘した。

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