従業員への埋め込みチップに懸念 州が規制

ウィスコンシン州に拠点を置く「スリー・スクエア・マーケット」は、まもなく従業員に対し、皮膚の下にマイクロチップを埋め込む選択肢を提供する予定だ。この技術はコンピュータと連動し、従業員が食事代を支払ったり、ドアを開けたりすることを可能にする。(KSTP-TV ABC-5 ウィスコンシン州のスクリーンショット)
By Susan Ferrechio – The Washington Times – Friday, April 3, 2026
犬にマイクロチップを埋め込む話など、序の口に過ぎない。一部の企業は、手をかざすだけで施設や社内アカウント、自動販売機にアクセスできるマイクロチップを従業員に埋め込んでいる。
この新技術は便利で魅力的に聞こえるが、プライバシー権擁護者らは懸念を表明、いくつかの州はこの慣行の禁止に動いている。
3月、ワシントン州のボブ・ファーガソン知事は下院法案2303号に署名し、同法案は法律として成立した。この法律は、いかなる理由であっても、雇用主が従業員に対してマイクロチップの埋め込みを義務付けたり、強要したりしてはならないとし、要請することも禁じている。
法案提出者のブリアナ・トーマス州下院議員(民主党)は「マイクロチップはSFのように思えるかもしれないが、技術はすでに存在する。雇用主が勤務時間中だけでなく自宅でも従業員を追跡できるようになるかもしれない。恐ろしいことだ」と述べた。
少なくともさらに13州が、雇用主による人体へのマイクロチップ埋め込みの強制を禁止しており、プライバシー権への技術の侵食に対する懸念が高まる中で、より厳しい規制を導入した州もある。
ネバダ州は2019年に、任意であってもマイクロチッププログラムを禁止することを決めた。
上司による従業員の追跡への懸念に加え、この新技術はハッキングに対して脆弱である可能性があり、マイクロチップ装着者の個人情報や健康情報、業務情報が流出する恐れがある。
いくつかの医学研究では、米粒大のチップが人の手の組織や腱を破壊する可能性があり、実験用マウスでは腫瘍との関連も指摘されている。
ネバダ州のスキップ・デイリー州議会議員は「私の見解では、この技術から得られる利益は何もない。保険会社、信用情報、位置監視、取引追跡、雇用主による個人情報へのアクセスなど、潜在的に有益と見える用途もあるかもしれないが、それらはすべて、悪用や自由の侵害という負の側面によってかき消される」と述べた。
州が規制に動いた背景には、ウィスコンシン州に拠点を置くソフトウエア企業スリー・スクエア・マーケットが2017年、親指と人差し指の間に米粒大のマイクロチップを埋め込むことを提案し、大きな話題となったことがある。
同社によれば80人以上が実際にチップを埋め込んだ。このチップにより、ドアの開閉、コンピューターのロック解除、専用のセルフレジでの支払いなどが可能になった。
同社はまた、プライバシーや宗教上の懸念を理由とする「深刻な反発」に直面したことを認め、「誰かを追跡する意図は全くない」と説明した。また、追跡技術の開発要請も拒否したとしている。
スリー・スクエア・マーケットは2022年にIT企業カンタループに買収された。ワシントン・タイムズは同社に対し、マイクロチップ計画が現在も続いているかどうか問い合わせた。
この計画が注目を集めて以降、米国の大手企業が同様の埋め込みを提供または義務付けると発表した例はない。
スウェーデンでは2社が従業員向けマイクロチップを提供しており、数千人がこれに参加している。これらのチップはドアの解錠やコンピューターへのアクセス、支払いに加え、ワクチン接種記録などの健康データも保存できる。
米国では、(技術と生物学を組み合わせて健康や能力の向上を図る)バイオハッキング技術は今後も存続し、さらに進化していく見通しだ。
米食品医薬品局(FDA)は2004年、医療記録へのアクセスを可能にする埋め込み型チップを承認した。それ以降、この技術は医療分野でより高度な用途へと発展し、神経疾患や麻痺患者の支援への応用が見込まれている。
また、単に利便性や技術的進歩を求める人々向けの商業用途としても発展している。
シアトルのIT企業デインジャラス・シングスは、消費者がマイクロチップを購入し、提携するボディーピアスやボディーモディフィケーション(身体改造)の専門業者によって埋め込むことを可能にしている。
スマートフォンと連動する注射型チップは25ドル程度から購入できる。
同社は高周波および低周波の無線識別技術と近距離無線技術を組み合わせた3種類のチップセットも提供している。このキットはスマートフォンやドアロック、USB非接触リーダー、キーフォブと連動するが、全地球測位システム(GPS)による位置追跡機能は備えていない。
価格は211.96ドルで、滅菌済みの注入器具、消毒用ワイプ、ガーゼ、包帯、ラテックス手袋が含まれている。
同社CEOのアマル・グラーフストラ氏は最近のSNSレディットでのやり取りで、注入型マイクロチップは皮膚の外に露出しないためボディーピアスより安全であり、プライバシーという点でも大手IT企業やハッカーによる監視の対象となるスマートフォンよりも安全だと述べた。
「デジタル個人情報は自分自身が所有し、それを文字通り体内に保持すべきだ。その結果、スマートフォンは単なるデータの通り道、交換可能なインターフェースとなり、権限ではなく接続機能だけを持つようになる」と述べた。
昨年11月には、脳とコンピューターを接続する技術を開発するパラドロミクスが、言語能力の回復を目指す脳インプラントの臨床試験についてFDAの承認を得た。
イーロン・マスク氏のニューラリンク社が開発する同様の技術では、思考によってコンピューターやロボットアームを操作できる。
この技術は「治療法がなく困っている人に、自分で動ける力を取り戻させ、さらに人の能力を今まで以上に広げる」ことを目指している。
スリー・スクエア・マーケットのマイクロチップは無線識別技術を利用しており、従業員の位置を追跡する機能は持っていない。
同社のプログラム開始当時の最高経営責任者(CEO)トッド・ウェストビー氏はCNBCに対し、このチップによって建物への入館に加え、スマートフォンやコンピューターへのログイン、支払いが可能になると語った。
「従業員の大多数は、このチップがもたらす利便性を非常に気に入っている。彼らにとって便利なツールになっている」