連邦判事、全国規模の差し止め命令の撤廃を要請
By Alex Swoyer – The Washington Times – Friday, April 15, 2022
米第6巡回区控訴裁判所の首席判事は今週、連邦地裁が全国規模の差し止め命令を出すことに警告を発し、「根こそぎ排除」すべきだと述べた。
ブッシュ大統領が任命したジェフリー・スチュアート・サットン判事は、一つの連邦地裁が50州すべてで政府の政策を停止させることができる全国的な差し止め命令の使用を批判した初めての人物ではない。
近年、全国的な差し止め命令の使用が増えているため、法曹界で議論の対象となっている。
裁判所はオバマ政権時代に何度か全国規模の差し止め命令を出し、ドナルド・トランプ前大統領の移民政策に対しても差し止め命令を出している。
サットン氏は最新の命令の中で「全体として、全国的な差し止め命令は法の支配にとって良いものではない。このような全国的な差し止め命令は、抑制されないまま放置され、国家的に重要な問題に対処するための議論を行う際の習慣のようになっている。このような差し止め命令は、一刻も早く個別の環境に限定されるか、根こそぎ排除されるのが望ましい」と指摘している。
この主張のきっかけとなったのは、バイデン政権による不法入国者の排除に関する指針に異議を唱えた3州による裁判だ。バイデン政権は、不法移民の排除に際して一定の優先順位、すなわち年齢や在留期間などの緩和要因を提示したが、下級裁判所がその政策の発令を阻止した。
3州は、不法移民が結局は地域社会に放たれ、州の負担増になりかねないと主張している。
シンシナティーにある第6巡回控訴裁は、下級審の判決を覆し、政府による差し止め命令の解除要求を認めた。
サットン氏は、全国的な差し止め命令は当事者が有利な裁判所を探し回る動機になり、「厄介な法律問題に対して異なる裁判所が意見を述べるという意思決定の利点が損なわれる」と指摘した。
最高裁のクラレンス・トーマス判事も、全国的な差し止め命令の利用を厳しく非難している。トランプ氏の渡航禁止令に関連する意見で、トーマス氏は「全米共通の差し止め命令は法的にも歴史的にも疑わしい」と述べた。
トーマス判事は、下級審でこのような命令が増えていることに高裁が踏み込んで対処する必要があることを示唆している。
2018年の司法省のメモも、全国的な差し止め命令は裁判官の権限を超えているとし、その使用に警告を発している。また、歴史的に見ても1963年まで裁判所が救済措置として使用することはなかったと指摘している。
「学者らは、この国の最初の175年間で、この種の極端な救済策を出した裁判官の例を一つも見つけていない。最初の22件の全国的な差し止め命令が出されるまで200年以上かかったが、最近では1年余りで22件が出された」
判事指名に詳しいイリヤ・シャピロ氏は、司法長官はもっと早くこの問題に取り組む必要があったと述べている。
「このような司法命令が適切であるとすれば、それはどのような場合か、またその審査はどのように行われるべきかという基準を、司法長官が設ける必要がある」
保守派の法律アナリスト、ゲイル・トロッター氏は、トランプ氏に対する全国的な差し止め命令を「武器化」したのは政治的左派だと指摘する。
彼女は、最高裁が公開の口頭弁論を行わずに命令や判決を出すシャドウ・ドケット(闇の台帳)を批判する人たちも、全国的な差し止め命令について懸念を持つべきだと述べた。
「シャドー・ドケットに手を焼いている人は、近年、全国的な差し止め命令が、行政の拡大とともに増加している現実を直視する必要がある」